神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

タグ:ジャケット ( 35 ) タグの人気記事

「天才少女歌手」タニヤ・タッカーを知ってますか and Grammy goes to …_d0027243_16534088.jpg




むかしむかし、たぶん75年ころ、インスタントコーヒーのCMソングに〈ハロー・ミスター・サンシャイン〉ていうのがありまして、これがけっこうヒットした。

ほら、この時代にテレビ見てた人は曲名見ただけでアタマのメロディ思い出してたでしょ。なんだっけかなあのCMは。マックスウェルコーヒーだっけ? マックスウェルはポール・アンカとかアンディ・ウィリアムズとかそういう大物路線だっけな。でもネスカフェじゃないよな。あれは「駄馬だー」とか、「アムステルダムの朝は早い」とか。まあいいや、ほかのコーヒーだったかもしれない。

ところでその〈ハロー・ミスター・サンシャイン〉は、ずいぶん後になって知ったんだけどムッシュかまやつの作品なんだってね。そう言われると、なるほどたしかにそうだよなーっつうまるで日本ぽくない音楽なのだった。

でそれを歌ってたのがタニヤ・タッカーで、タニヤ・タッカーはその何年か前に〈デルタの夜明け〉を13歳でヒットさせたカントリー系「天才少女歌手」つうことで日本でも話題になってたが、おれはあのころカントリーなんてまるで関心なかったから、あのCMで初めてタニヤ・タッカーを知ったようなもんである。

それから何年かたって、たまたまラジオを聴いてたら(考えてみるとよく聴いてたんだなラジオ)、プレスリーの〈ハートブレイク・ホテル〉を若い女性シンガーがやけにパワフルに、エルヴィスの歌い方をなぞるように歌っててさ。それがタニヤ・タッカーでニューアルバムに収録されてるってラジオがいうんだよ。へえー、こんなふうに「天才少女」は育ってんのかーってガゼン興味が涌いて、おれは初めてタニヤ・タッカーの(もっといえば初めてカントリーシンガーの)レコードを買ってみたんである。

それが上の写真だ。78年のアルバム〈TNT〉。芳紀まさに18歳のタニヤ・タッカー。ちなみにおれは21歳でした。どーでもいーけど。

けっこう聴きました、くりかえし繰り返し。だいたい女の子の歌ってるレコードなんてあんまり持ってないし。つか、そもそも21歳のときっつうと、持ってるレコードの枚数を数えるのに1分もあれば足りるくらいなんだから繰り返し聴くしかない。持ってるすべてのレコードがヘヴィーローテーションなんだから、当然タニヤのこれもヘヴィーローテーションです。

もともとカントリーシンガーとしてデビューしてこのあたりで5年くらい? これ聴くとカントリー風味のロック/ポップアイドルとしてやっていこうっつう感じだったんでしょうね、たぶんリンダ・ロンシュタットみたいな感じに。だけど、リンダよりハスキーな声で歌い方もちょっと伝法な感じでアクが強い。雰囲気もウェストコーストというよりかウェスタンつう雰囲気で、ちょっとあか抜けない(あのころのリンダ・ロンシュタットがあか抜けてたとはいわんけど)。

そしたら、そのうち名前を聞かなくなった。こっちもカントリーに興味があるわけじゃないし、なんとなく忘れてしまってたんだが、どうやら80年代に入ってからはヒットが出なかったらしい。

だけど自分のレコード棚にはいつもこのレコードが刺さってるから、時折目に触れることもある。目に触れれば、たまには聴く。20代のころは相変わらず買うレコードといえばジャズばかりで(それもドルフィーとかコルトレーンとか)、ポップ系女の子歌手のレコードなんて増えもしないから、なんとなく1年にいっぺんくらい聴いてた気がする。

それから時は移り、新しい世紀に入り、かつての若者は老いさらばえ、元号は二つも変わっちまってつい先日。

たまたまミュージックマガジンの後ろのほうにある輸入盤紹介のページを見たらタニヤ・タッカーが10年ぶりだかにニューアルバムを出したって記事があり、しかもなかなか悪くないらしい。そのうえグラミーにも数部門ノミネートされてるとも書いてある。そうか、そりゃあ懐かしいじゃないか。聴いてみるかな。



「天才少女歌手」タニヤ・タッカーを知ってますか and Grammy goes to …_d0027243_16014293.jpg



そしてこれがそのニューアルバム〈While I'm Livin'〉。ジャケットの意匠にしてからが、この40年、アルバムの張本人がどのように変貌したかを物語ってるようなもんである。じつにまったく正々堂々、人生の酸いも甘いも知り尽くしたヴェテランカントリーシンガーのアルバムつう趣きではあるまいか。

前記マガジンの評文には「なかば引退状態の…」とあるんだが、聴いてみると「引退」じゃなくてレコード会社との契約がなかっただけなんじゃないかって感じの現役バリバリ感が充満してる。ひょっとして自分ちの近所のクラブとかパブとかバーとか、ツアーに出ずにそういうとこでずっと歌ってたんじゃないの。だって18歳の頃より衰えたという感じはまるでなくて、衰えないまま円熟味が加わって人生を歌えるシンガーに進化してる感じなんだぜ。「引退」してたらこうはいかないでしょ、ふつう。

いやー、陰ながら応援していた甲斐がありました(とか言っちゃって)。

そして先ほどグラミーの発表を見たらSong Of The Yearとカントリーミュージックのなかの3部門、合わせて四つの部門にノミネートされて、そのうちBest Country Song と Best Country Albumのふたつでウィナーに輝いている。おー、やるじゃんか。しかもこれまでのキャリアのなかでグラミーにノミネートされたことはあっても、ウィナーになったのは今年のふたつが初めてらしい。こりゃあまったく再出発に花を添える快挙というべきではあるまいか。とにかく、めでたいめでたい。

ところで、1978年おれが21歳のときタニヤ・タッカー18歳。そうすると2020年おれが63のいま、タニヤはめでたく還暦である。そうか還暦か。アメリカ合衆国でも祝うのであろうか(そんなわけないよな)。とにかく人生はこれからなのさ。



「天才少女歌手」タニヤ・タッカーを知ってますか and Grammy goes to …_d0027243_23181220.jpg


While I'm Livin' ( Tanya/Fantasy 8 88072 10507 2 )


by god-zi-lla | 2020-01-29 23:25 | 常用レコード絵日記 | Comments(0)
ここんとこのレコード見つくろって少々(ちょっとワールドカップにかまけ過ぎよねこのブログってば)_d0027243_12405769.jpg
ここんとこのレコード見つくろって少々(ちょっとワールドカップにかまけ過ぎよねこのブログってば)_d0027243_12411184.jpg
ここんとこのレコード見つくろって少々(ちょっとワールドカップにかまけ過ぎよねこのブログってば)_d0027243_12412792.jpg
ここんとこのレコード見つくろって少々(ちょっとワールドカップにかまけ過ぎよねこのブログってば)_d0027243_12414713.jpg
ここんとこのレコード見つくろって少々(ちょっとワールドカップにかまけ過ぎよねこのブログってば)_d0027243_12420042.jpg





一生に一度だっつう惹句にまんまと乗せられてラグビーのことがアタマん中に二六時中渦巻いてる今日このごろでございます。

いよいよ金曜日が3位決定戦、決勝のイングランドvs南アフリカが土曜日である。きっとすごい死闘になるんだろうなあ。ホント楽しみだよねえ。

正直いって準決勝ふたつを見ると、ジャパンがそこへ残るためには今までとは別の努力をこれから半世紀くらいつづけなきゃなんないじゃないかと思ったね。しかもその努力が半世紀後に実るかどうかはわからない。

たぶん1970年代コクリツの早明戦に5万人もの大観衆が当たり前のように集まってた頃から始めときゃ、次の次のワールドカップあたりに間に合ってた可能性もないわけじゃなかった気がする。

ほーら、また。油断するとアタマがラグビーへ行っちゃう。ヤメヤメ。

つうわけで、ここんとこレコード屋さんでエサ箱掘りなんてこともやってないです。そのかわりっちゃあナンだけど、ひとんちのレコードほじくり返したりなんかして、その結果がジェーン・バーキンである。いちばん上のジャケットね。

いいよねえ。たまんないよねえ。

しかしこの、ひとんちのレコードほじりなんですけど。おれの前にも大勢ほじくってるはずだから、ジェーン・バーキン救出に走ったのはおれだけだっつうことだもんな。ふつう、いらないのかね。古い国内盤だってのもあるかな。歌はもちろんヘタだし。

だけどアレだよ。このお姿でもって美声で朗々と歌われたりすると、それはなんかちょっとジェーン・バーキンではない。あの、どう考えたってヘタっぴで高い音はかすれて声出ないっていうんじゃなきゃ「小悪魔的」というような表現にはならない。

いやそれにしてもいいわ。なにしろ曲も詞もアレンジもいいんだから、さすがセルジュ・ゲンズブール、最高。

ジャケットだけに惹かれて持って帰ってきたんだけどね。

コルトレーンが映画のサントラ用にヴァン・ゲルダー・スタジオで録音したっつう発掘盤はタワレコに予約してあったのが届いた。

つい買っちゃう未発表発掘盤。

お馴染みの名曲〈ナイーマ〉が2テイク、〈ヴィレッジ・ブルーズ〉という曲が3テイク、それから〈ブルー・ワールド〉1テイク。おれ的にはナイーマもいいんだけど、1テイクずつ入ってるこれもお馴染み曲の〈ライク・ソニー〉と〈トレイニング・イン〉がよかった。

それにしてもどのトラックも短くってね。前にも書きましたけど、コルトレーンにはLP片面くらい延々とプレイしてほしい。せめて最低1曲10分いや12分いや15分は聴きたい。

これから先、繰り返し聴くかなあ。どうかなあ。

ビル・エヴァンスはAmazonでなんか他のものを探してたときに見つけたか、「あなたにオススメ」とかって勝手に出てきたのか覚えてないんだけど、あの有名なヴィレッジヴァンガードのライヴのコンプリートだっていうLP4枚組のボックスセット。

おれべつにビル・エヴァンスの大ファンてことは全然ないんだけど、それでもやっぱスコット・ラファロとポール・モーシャンとのトリオはすごくいいなあ、こういうピアノ音楽は古今ここにしかないよなあと思って聴く。

ところが、おれの持ってる〈ワルツ・フォア・デビー〉のLPが大昔新品で買ったOJC盤で、それだけ聴いてたときはなんとも思わなかったんだけど、あるとき運悪くコイツのオリジナル盤を聴かせてもらったんである。

おれのOJCは音がヨレてる。なんなんだこれは。サイテーじゃん。

もちろん大ファンということじゃないからオリジナル盤を買おうなんてことはユメユメ思いもしませんでしたけど、もうちっとマシな盤に買い換えるくらいはしたいもんだ。

ところがさすがの大名盤、古い国内盤すらめったに見ないし米盤はセカンド、サードといわずそれ以降のプレスでも結構なお値段でちょっと買えない。

そうこうしてるうちに幾星霜。そしたらこんなものを見つけたんであった。4枚組で1万2千円くらい。発売されたライヴアルバムは2枚だから、こんくらいがおれのような中途半端なヤツにはちょうどいいんじゃあるまいかと買ってみたんであったが、これは正解だったね。OJCよりずっと音いいし(同じOJC盤でもいくつかのリマスターがあるらしいけど、そういう追究はしない)ブックレットもゴーカだ。

おれとしたらもうビル・エヴァンス・トリオといえばこれを聴けばオッケーな終着駅。

その下にあるのはシルヴィ・バルタンの〈アイドルを探せ〉。

湯島のスタジオでジェーン・バーキンをほじった後、少しだけあったドーナツ盤を漁ってたところ、このカラー写真の歌詞カードだけがペラっと出てきた。あ、こんだはシルヴィ・バルタンじゃん。今日はフレンチ・ガールポップの日なのね。

と思ったら盤がない。あのペラっとした歌詞カードってけっこうなくすんだよね。むかしドーナツ盤てわりかし雑に扱ってたから、ウチにも歌詞カードない盤けっこうあるもんな。

だけどカードがあって盤がないってことはめったにない。そしたらやっぱりありました。めでたしめでたし。

こうなったら先にジェーン・バーキンほじくり出してんですからシルヴィ・バルタンもいただきというのが人の道ってもんでしょ。

ついでにニッパー君の意外と四角いオデコも鑑賞して下さいまし。

最後はこの1枚だけ盤の記念撮影。センター付きです。






by god-zi-lla | 2019-10-31 10:00 | 常用レコード絵日記 | Comments(0)


ひさしぶりにジャケ買いしてしまったのさ(たんなる自慢)_d0027243_12522658.jpg





先週のとある晴れた日の午前、用事があって馬喰町から秋葉原へ抜けてさらに御茶ノ水まで歩いたところが次の予定までまだ1時間以上あるではないか。こういうときは本屋かレコード屋ですね。あるいはその両方。

で、こういう時間つぶしにレコード屋に入ったときにかぎって良いことと悪いことが同時に起きるものなんである。

良いことは、思いがけないレコードに出合うこと。
悪いことは、思いがけない散財を強いられること。

まあいいんだけどね。

でその日は秋葉原から昌平橋を渡り、神田郵便局のところから淡路坂を登り切ったらそのままずんずん御茶ノ水駅前を突き抜けてユニオンのクラシック館へ入ったんでした。めぼしいものがなかったら次はJAZZ TOKYOだ(というコースね)。

とくに目的もないのでLP売り場のあちこちをだらだらと漁りながら新着箱のところが空くのを待って、端から見始めるといつもと様子がちがう。なんか妙に英盤が多い。なんなんですかこれって。そしたら新着箱のとなりに「英国買い付けレコード特集」って札の立ったエサ箱があるじゃないの。当然そこに刺さってるレコードは全部英盤。なるほど、これはきっと少し前から英国買い付け特集ってのをやってて、前回のぶんが終わったあと残りモノをそのまま新着箱に移動したんだな。

おかげで新着箱がミョーに新鮮なんだよ。たぶんそんなに珍しい盤はないんでしょうけど、つぎつぎジャケットを繰って見えてくる景色がいつもと違う。もちろんそのぶん国内盤が少ない。オビは少なし英盤多し。ついレコードを漁るスピードがいつもよりも遅くなっちゃう。まるで車窓の景色を楽しむ各駅停車の旅のやうぢゃないか、なんて。

ふとエサ箱から顔を上げると左隣りからオッサンが猛スピードで追い上げてくる。なんだよなんだよ、せっかくいつもと違う景色が広がってんだから、アンタもちったあ楽しめよ。せわしないなあもう。そんなにパタパタすんなってば。なんてってたら突然姿を現したのがコイツなのであった。



ひさしぶりにジャケ買いしてしまったのさ(たんなる自慢)_d0027243_13022014.jpg



うわー、これはなんて典雅なジャケットなのだ。見たことあるような気もするけどLPのジャケット実物を手に取ったのは絶対いまが初めてだってことはわかる。んー、これいいなあ。一瞬にしてこのイラストレーションとデザインにヤラれましたね。で、なんなんだこのアルバムは。

となりに迫っていたオッサンはおれが「停車」したので、あきらめてヨソのエサ箱へ行ってしまった。

そうするとこれはミュンシュ/ボストン交響楽団によるプロコフィエフのロミオとジュリエットと書いてあるのであった。んー、シャルル・ミュンシュといえばつい先日没後50年を迎えたと日頃よりお世話になってるこちらのブログを読んで知ったもんだから、パリ管との初録音ベルリオーズ〈幻想交響曲〉の40年前に買った国内廉価盤LPを引っぱり出して聴いたとこじゃんか。

なんてことがあったばかりでもあり、もちろん引っこ抜きましたね。お値段は三千円ちょっと。さいきんおれが買ってる盤としては高いほうだけどな(そうなのよ、めっきり高額盤を買わなくなったおれなのである)。こんなキレイなジャケットはめったにないさ。ユニオンが付けた札にも「ジャケットはピカピカ」と書いてあるが、おれはそういう意味でキレイと言ってんじゃないのよ。

で、検盤カウンターの上でビニール袋から取り出してジャケットを手に取ったところ古式床しくもつやつやとしたペラジャケのゲートフォールドでね。開いてみるとこれだった↓ わお、中にもイラストレーションが飾られてる。しかも5つの見開きからなる綴じ込みブックレットになってるじゃんか。こういうの見ると、もう舞い上がっちゃう性分でね。いやあこれはいいや。絵も典雅だけど本文の活字だって何ともいえない藤色で刷られてる。


ひさしぶりにジャケ買いしてしまったのさ(たんなる自慢)_d0027243_13023785.jpg
ひさしぶりにジャケ買いしてしまったのさ(たんなる自慢)_d0027243_13025346.jpg
ひさしぶりにジャケ買いしてしまったのさ(たんなる自慢)_d0027243_13030952.jpg
ひさしぶりにジャケ買いしてしまったのさ(たんなる自慢)_d0027243_13032202.jpg
ひさしぶりにジャケ買いしてしまったのさ(たんなる自慢)_d0027243_13033964.jpg

とまあ上の5つの写真のごとく、おおー、と驚いてユニオンクラシック館のカウンターで1丁1丁全部めくって眺めちゃったよ。それにしても針金で2箇所止めてあるだけのごく簡単な中綴じなのに、よくもまあ頁がバラけずにおれの手元に来るまで持ったもんだ。どう見たって半世紀は経ってるはずなのに(針金は赤く錆びてるし)。

これはもうおれんちで手厚く保護してやるしか道はあるまいて。


ひさしぶりにジャケ買いしてしまったのさ(たんなる自慢)_d0027243_13035061.jpg



これは裏表紙。
もう、なにがなんでもキレイで雅やかなジャケットに仕上げよう、作曲家や指揮者のむさくるしい顔写真なんか金輪際載っけてやるもんかという気合いが感じられるようだよ。

そんなふうにジャケットに見惚れて中身のことはろくに考えもせずに買い求め、うちに帰っておもむろにユニオンの黒い袋から取り出し、さてこれは一体どういうレコードなのであるかと点検し始めるんだからまったく困ったもんである。

プロコフィエフのバレエ音楽〈ロミオとジュリエット〉は知ってます。作曲家本人がそのなかからオーケストラのために組曲を作ったのも知ってる。だけどそれが3つあるのは知らなかった。

ジャケットの表紙を見るとタイトルの肩に小さく「EXCERPTS FROM …」と印刷されてるからこれがロミオとジュリエットの「抜粋」だってことはおれにでもわかるんだけど、でもなんで「SUITE」じゃないの。そう思ってジャケットを繰ると各トラックの曲目のあとにカッコ書きで例えばA面冒頭のトラックは「SCENE(Suite III, No.2)」というふうに書いてある。なーるほどね。

と、ここまできてさっきリンクを貼ったs-numabeさんのブログの過去の記事を探してみたらやっぱりあった。なるほどそういうレコードだったのか。勝手に二度もリンクを貼って申し訳ありませんが、モンガイカンのおれが何かテキトーなことを書き散らかして世間に害をなすよりはずっといいのではあるまいか(と思う)。

で、おれはといえばこうやってキレイなジャケットのレコードを見つけちゃってさあ、と自慢たらたらに徹するのみであった。じつにお気楽な人生であるというもんである。

このレコードが録音されたのは1957年というからモノラル最末期ということなんだろうけど、実際その年の暮れにはオーディオ・フィデリティって会社がステレオレコードを発売すると告知して話題になってたんだそうだ。つうことはRCAのような大手レコード会社もすでにステレオ録音を始めていて、ステレオ盤を販売する市場環境が整うのを待ってるような時期だったのかもしれない。


ひさしぶりにジャケ買いしてしまったのさ(たんなる自慢)_d0027243_23213153.jpg



赤いラベルの細かい文字を見るとFIRST PUBLISHED 1958と表示されている。つうことはおれが手にしてるこの盤は58年かそれ以降に売られたレコードだってことだろうな。ジャケットにもラベルにもSTEREOともMONOとも書かれてないところをみるとステレオ登場以前の盤だと思いたいんだけど、経験上レコード会社って結構テキトーだからね。念のためステレオカートリッジでかけてみた。

やっぱりモノラルだった。

だけど、どういう加減なのか、B面からオルトフォンCG25Diの代わりに取り付けてあるGEのバリレラカートリッジのLP針で聴いてみたらやや古めかしい音がして(1957年相応といえばそうなんだけど)たまたま試しにかけてみたステレオのテクニカAT50ANVで鳴らす音のほうが新しいというかシャープというか、少なくともこのレコードに刻まれた音楽にはAT50ANVのほうがふさわしいように思えてね。

モノラル盤はモノラル針でかけたほうがいいと思うんだけど、たまにこういう盤もあるんだなあ。モノラルレコードをモノラル針で聴くのはそのほうが鮮度の高い音がするからで、べつに時代がかった音がするってことではない。なので少し面食らう。GEのバリレラがそういう音なのかな。

ちなみに同じシャルル・ミュンシュが68年新生パリ管と録音した〈幻想交響曲〉は、おれが持ってるのは40年くらい前に買った国内盤のしかも廉価盤だけどすごく音がいい。

音もいいし演奏もこれ以上の「幻想」がそうそうあるとも思えないので、レコードCDほかの演奏をその後いくつか買ってみたものの結局このミュンシュ/パリ管に戻って、幻想といえこの盤ばっかり聴いている。だからミュンシュといえば、おれにはこの〈幻想交響曲〉なんだな。

おっと枝線に入ってきたから、これでおしまいにしよう。

なにしろおれはキレイなレコードを買った自慢したいだけなんだからさ。
もうじゅうぶん自慢したもんね。

by god-zi-lla | 2018-11-17 09:36 | 常用レコード絵日記 | Comments(4)


さようならアリーサ・フランクリン_d0027243_15411936.jpg




すごい歌手がまたひとりいなくなった。
おれはとくにソウルミュージックのファンてわけじゃないけど、すごい歌手にジャンルなんか関係ない。

棚を探すとLPが10枚あった。おれはふだんヴォーカルをそんなに好んで聴くわけじゃないから、ひょっとしたらひとりの歌手のアルバムとしては(ほかにCDもあるし)アリーサのアルバムが一番多いような気がする。

晩年のCDはともかくとしてLPはどれも、いやあすごいひとだよなあと溜息をつきながら聴くしかない。

とりあえずありったけのレコードを並べて冥福を祈ることにする。







by god-zi-lla | 2018-08-18 15:47 | 常用レコード絵日記 | Comments(2)

トコロテンとコルトレーンは一瞬似てる_d0027243_22232209.jpg




しかしトコロテンは夏向きだがコルトレーンが夏向きとはいえない。

エチゴビールの〈スタウト〉の缶の裏側に印刷されたイラストなんだけど、見れば見るほどコルトレーンに見えてきちゃうのよね。

で、こういうジャケット写真があったんじゃないかと棚からいろいろ引っぱり出してみたんだけど、ドンピシャこれだっつうのは見つからない。

それでとりあえず〈Settin' The Pace〉の黒いバックにモノクロのコルトレーンがいちばん近い感じがしたので並べて比べてみたのが写真なんでした。

んー。もしかするとほかのサックス奏者だったかもしれない。アタマの格好とかモミアゲの感じとか生え際とかビリー・ハーパーにも似てるし。ロリンズの〈Work Time〉の写真もこんな角度だったか。

それにしてもなんでエチゴビールの〈スタウト〉にコルトレーン風のミュージシャンの絵なんだ。エチゴとコルトレーンて、なんか繋がりでもあるんだろうか。コルトレーン、じつはエチゴ生まれだったとか、お爺さんが越後の船乗りで乗ってた北前船が難破漂流してアメリカに辿り着いたとか(大黒屋光太夫かよ)。そういう故事来歴はスタウトの缶にもエチゴビールのホームページにも何も書いてない。

しかも、よく見れば描かれた楽器はテナーかアルトかよくわかんない、けっこうヘタっぴなイラストの気がする。ミュージシャンの姿かたちもたまたまコルトレーンに似ちゃっただけかもしれない。

だけどなんかうれしいから、見かけるとつい買っちゃうんですこのエチゴビールのスタウト。

でもね。エチゴビールで今いちばん気に入ってんのは〈ホワイトエール〉ってヤツね。あのちょっと白濁したビール。ヴァイツェンっていうんでしょうか。もちろんドイツとかベルギーのビールにもありますけど、どれも高い。エチゴビールはそこまで高くないからケチなおれでもたまには買えます。

コルトレーンといえば1956年ヴァン・ゲルダー・スタジオで栓抜きを探してる声がレコードになってるくらいだから、そりゃあ間違いなくビール好きだったと思うんだよな。

もしもRVGが冷蔵庫に買い置いてあったビールが瓶じゃなくてプルトップ缶だったらコルトレーンが栓抜きを探す必要もなく、その声がマラソンセッションのテープに残されることもなかった。

そうするとコルトレーン似のサックス奏者が日本の缶ビールに描かれることもまたなかったかもしれない(まったく、なんの説得力もないな)。



by god-zi-lla | 2018-08-08 18:54 | 酒だ酒だ酒だ酒だ | Comments(2)
長年ぐるぐるのピアスが気になってて_d0027243_16143433.jpg
オーネット・コールマンがとくべつ好きってほどでもないからたくさんレコード持ってるわけでもないししょっちゅう聴くわけでもないんだけども、そのなかでいちばんよく聴いてる気がするのは多分80年代の終わり頃に出た〈VIRGIN BEAUTY〉じゃないかな。でもまあブルーノートのゴールデンサークルVol.2をVol.1を買ってから何十年もたって買ったくらいだから、よく聴くとか聴かないとかいうほどのことじゃないけどさ。

だけどこの上のジャケットのモデルのおねえさんの蚊取り線香みたいなピアスがすごい気になっててさ。なんだこれ? って最初に思ったのがいつだったか忘れましたけどなんかすごいインパクトあった。だからこれがオーネット・コールマンのアルバムだったなんてことはずいぶん後になってから認識したんじゃなかったかしらん。

それをどういう風の吹き回しだか、ついせんだって買ったんであった。〈LOVE CALL〉つう68年のアルバム。

今回買うまで聴いたことはなかったけど、これがリズムセクションにジミー・ギャリスンとエルヴィン・ジョーンズつう超強力なコンビ、そこにデューイ・レッドマンのテナーの加わったバンドのアルバムだってことはさすがに今はもう知ってました。でもね、正直なところジミー・ギャリスンとエルヴィン・ジョーンズ組にコールマン・レッドマン組ってのは水と油なんじゃないの? って聴くまでは思ってた。

で、聴いてみるとおれにはやっぱり「水と油」にきこえる。きこえるんだけど、面白くないかってばこれがすごく面白い演奏に思えてさ。エルヴィンはとにかくすごい勢いでコールマンとレッドマンにビートを送り込んでる。二人がどう出ようがまあお構いなし。うりゃあー、お前らもっとガツンガツン行けえー、どどどどどどどど、みたいな。ジミー・ギャリスンは二人のプレイに反応しながら激しくパルスを送ってるようにおれにはきこえるけど、とくにコールマンのほうがそれに乗ってきてるかっつうと必ずしもそうでないような気もするんだけど、じゃあお構いなしかっつうとそうでもない(乗っかりかたが違うのか)。

なんというのかなあ、ギャリスン+ジョーンズ組はあの「至高のクァルテット」のまんまのノリノリ、コールマンはコールマン流のノリノリ。当然ノリノリの方向性が違ってる。違ってるんだけどお互い好き勝手にやって楽しそう。どっちかがどっちかに合わせようって気がない。そのかわり強引に自分のやり方で押さえ込もうって感じもない。そこをデューイ・レッドマンのテナーがなんとなく繋いでるような繋いでないような、レッドマンのゴリゴリっぷりはギャリスン+ジョーンズ組に共通のものがあるけど踊るような音楽そのものはコールマンと同じ足場に立ってるっていう感じですかね。

なんかさ、コルトレーンはジミー・ギャリスンとエルヴィン・ジョーンズのリズム隊のうえで語ったり叫んだり泣いたり歌ったりしてたのが、コールマンは踊ってるような感じがするんだよ。その踊ってるような感じが80年代後半の〈VIRGIN BEAUTY〉とおんなじのような気がしてさ。いやこれは楽しいレコードだな。

ところでそのグルグルした蚊取り線香ピアスが印象的なカヴァー写真はクレジットを見てみるとフランシス・ウルフが撮ってる。いや、もしかしたら一瞬アリモノの写真を使ったのかとも思ったんだよ。なんかこういかにもコマーシャルっぽいでしょ。だけどウルフが撮ったと知ればちょっと見方が変わる。つうのもサド・ジョーンズのあのアルバムの、故意か偶然か仕掛けを隠したような写真のことが思い出されてね。こいつもまたどっかに何かが隠れてるんじゃあるまいか。この二人のおねえさんの手の位置はどうか、バックの建物に何かヘンなところはないか、そもそも二人よく似てるけど双子か、あるいは合成か、とかさ(いまのところ何も発見できないけど)。

なんつってたらヘンなところにヘンな(つうよりウレシイ)オマケが隠されていたのであった。このレコード'BST-84357'。下のラベル写真見れば'STEREO LONG PLAYING'の表示。なのにかけてみると中身はモノラルなんだよ。コールマンもレッドマンもギャリスンもジョーンズも全員まん中で1列縦隊。

そういえばと思ってランオフを確認してみると、'VANGELDER'の文字はあるのに'STEREO'の刻印がない。きっとプレス工場で間違えたんだな。この1枚だけだろうか。いやスタンパーの装着間違いだったら結構な数が出回ってるかもな。そしたら、もしかして逆にジャケットとラベルの表示はモノだけど盤はステレオになってるヤツもあるってことか。そりゃマズいじゃん(ったって48年前のことだから今さら心配してもな)。
長年ぐるぐるのピアスが気になってて_d0027243_1845545.jpg

by god-zi-lla | 2016-08-08 16:14 | 常用レコード絵日記 | Comments(0)

クラプトンも45RPM

クラプトンも45RPM_d0027243_647153.jpg
クラプトンのニューアルバムなり。シンプルで持って回ったとこなんてなんにもなくて(もともと、そういう人じゃないしな)、しかしそれなりに変化には富んでるから全体のバランスも良くて(J.J. ケイル一辺倒とかそういうのじゃないし)、ピピエコさんのコメントにあったとおり最近のクラプトンのアルバムのなかでは一番いい感じに聞こえる。

しかも45回転だ。もしかして45rpmがレギュラー盤というのが今後LPレコードのトレンドになるんでしょうか。おれが最近買ったのではボニー・レイットのニューアルバムに続く45rpmなんであった。

ところでカヴァーの肖像画の署名にPeter Blakeとあって一瞬わかんなかったけどSgt.Pepperの、今や英国のポップアートの巨匠サー・ピーター・ブレイクの作だったんでした(ほかにもクラプトンのカバーアート手がけてたのかなと調べると〈24ナイツ〉の、ひゃらひゃらっとパステルで描いたみたいのがそうだった)。

でブレイク卿のクラプトン像を開くとゲートフォールドの内側に非常に強い既視感があるもんだから、ほかのクラプトンの見開きアルバムを引っぱり出してみたところがSLOWHANDがコルクボードにピンでいろんな写真を貼るっていう同じコンセプトのアートワークだった。SLOWHANDもグリン・ジョンズがプロデューサーだけどカバーデザインまでジョンズが指示したとは思えない。でもまあグリン・ジョンズとの再会セッションだしって気分がクラプトン本人にあったから同じようなデザインにしたのかもね。

クラプトンも45RPM_d0027243_13423524.jpg
写真上がSLOWHAND、下が今回のI STILL DO。写真とめてるピンもそっくりだ。だけど、音楽はともかく見開きに関しては旧作が断然だな。写真たくさん並べりゃいいってもんでもない。

こんかいのアルバムのなかでは〈Catch The Blues〉って曲が気に入ってる。Bluesとあるけど曲自体はブルーズじゃなくてね。わりと軽い感じの、こういうサラサラっとしてチカラの抜けた曲調のナンバーを若い頃のクラプトンのようなミュージシャンがやってたら、かえってイヤミな感じに聞こえたかもしれない。

音もいいよ。

I STILL DO / Eric Clapton(Bushbranch/Surfdog 6 0254786366 9)
by god-zi-lla | 2016-06-04 21:48 | 常用レコード絵日記 | Comments(0)

断片化解消に6年

断片化解消に6年_d0027243_9104068.jpg
なんか、夏だな。
爽やかな初夏の陽気ってのを超えちゃってる東京は気がする。

じつはこのエントリをアップしたときには、もう絶対バラ3枚で買い直してやるぞと決心してたフルニエのバッハの無伴奏全曲なのであった。苦節6年。さきごろようやっと3枚揃えることができました。

やっぱり6つの組曲を2枚に押し込めたレコードつうのは非常に聴きにくいんだよ。それからこれは多分にイメージに引っぱられてるとは思うんだが、ぎゅうぎゅうに押し込められて音もなんだか窮屈な感じがしてさ。

途中、70年代くらい再発の1番2番の1枚を「押さえ」で買ってしまったけど、まあよくあることではありますからこの際結果オーライということで。

このオリジナルは3枚組のボックスセットのようなんだが、どうせウンとお高いんでしょうから探しもしないし見たこともない。で今回揃った3枚はおそらくわりあい初期のバラ売り再発盤かと思うんだけど、古い〈アルヒーフ〉レーベルのれいの特徴的な、3面見開きで「糸縢り」などと呼ばれることもあるらしい(ジャケットを糸で縢るのは書庫などに長い年月架蔵した際、糊や接着剤が劣化変質するのを嫌ってのことなんだろう)独仏英語どれかを表紙に出来るジャケットに入ってるやつね。盤は3枚とも小溝ありで「1番2番」と「3番4番」の2枚は銀地に青い2本の輪っかの印刷されたラベルで、「5番6番」は少し新しいようでこの2本の輪っかのないタイプになっている。

買って聴いてみるとカッティングに余裕のあるせいか初期プレスだからなのか、たっぷりとした良い音がしてね。なにしろ4年前、3枚のなかで最初に手に入れた「3番4番」に初めて針を下ろしたときに、これはもうあと2枚探すしかないじゃんかって瞬間的に思ったくらいでさ。

いやほんとうれしい。ちなみに1枚は新宿ユニオンクラシック館、もう1枚は同じく御茶ノ水、あとの1枚はヤフオクで。偶然盤面の状態もほぼ同じなので、なおさらうれしい。コンディションのせいで聴く曲が偏るようだと、さらに良盤を求めて散財しなきゃならないとこだからね。

つうわけで断片化めでたく解消せり。
コトの起こりが下の写真左です(右端は途中『押さえ』に買った1番2番)。
これにて一件落着。
断片化解消に6年_d0027243_11205131.jpg

by god-zi-lla | 2016-05-25 10:28 | 常用レコード絵日記 | Comments(0)
ジョン・ゾーンついでに、いや、ついでじゃジョン・ゾーンにすまぬな_d0027243_14434020.jpg



じゃーん。いや、ぞーん、か。

ジョン・ゾーンのアルバム、SPILLANEす。スピレイン、マイク・ハマーのミッキー・スピレインのSPILLANE、87年の録音。でね、このジャケットのポークパイハットかぶった後ろ姿のガンマン(というより殺し屋か)は誰あろうエースのジョー、宍戸錠なんでした。60年小林旭主演の日活映画「口笛が流れる港町」のスチル写真なんだよ。かっこいいよなあ。

最初この広い背中が日本人だなんて思いもしなかったもん。

じつはたびたびこのブログに登場してる「12インチのギャラリー」のムック版の目次のなかにカット的にあしらわれていたこの一度見たら忘れられないジャケットが、同書の書籍版の目次からはオミットされてしまってる件について1年ほど前、著者の沼辺信一さんからコメントをいただいてコトの真相を知ったわけなんだけども、そのときこの背中の男が宍戸錠だということも伺って、そしたらガゼンこのアルバムが欲しくなっちゃってね。

これね、25年以上まえのことですけど発売されたころにちゃんとレコード屋のエサ箱ん中にあるのを見て知ってたんです。おーこんだのジョン・ゾーンは真っ当なジャケットデザインだなあとその時思ったのも覚えてる。なにせジョン・ゾーンのアルバムのアートワークといったらブキミだったりヘンテコリンだったり、そういえば玖保キリコのイラストのジャケットもあったけどあれはいつごろだったっけね。いや玖保キリコはいいんだけどなんか死体の写真みたいなのとかさ。中身聴くより前にレコード屋で手が伸びないんだよ。もしかしたらジョン・ゾーンのコアなファンはああいうのが好きだったのかもしれないけど、おれはちょっとなあ。それでも幾枚かは買ったけど。

でその真っ当なジャケットの後ろ姿の人物がエースのジョーだったなんて! おれはてっきりタイトルがスピレインだし、古いハリウッド映画かなんかのワンシーンだとばっかり思って疑いもしなかった。だってこのバタ臭さだぜ。バタ臭いって言いようも古いですけど、日本のアクション映画でこれはありえないでしょって。そうそう、いまだったら小栗旬のルパン三世って感じか。

まあそれはともかくとして、このジャケットが欲しくてそれ以来いつものように探すでもなく探していたところ、半年くらい前にカット盤ながらプロモコピーのこいつを見つけて喜び勇んで買い求めたのであった。だけどジョン・ゾーンだしね。べつにブログに書いて自慢するような大メジャー盤のオリジナルでもないしと思ってそのままにしてたんだけど、まあ密かに登場の機会をうかがってたとこに前回のメセニーのゾーン曲集だった。

ところでこのアルバム、A面しょっぱなイキナリ女の悲鳴がぎゃあーっときます。いやもしかしたら何か楽器でぎゃあーっと女の悲鳴のようなサウンドを出してるのかもしれないけど、なにせいつもイキナリだから(聴くたびに変わったらそのほうがコワイ)、気の小さいおれはそれを冷静に聴いて悲鳴だか楽器だか判断することができない。いやーこれが外に漏れ聞こえたら世間様はどう思うんだろうって、一人で聴いてるのにキョロキョロあたりを見回したりしてさ。

だけどそれを過ぎればSpillaneというタイトル曲のじつにかっこいい音楽がA面いっぱいに展開してるのだった。ミッキー・スピレインのハードボイルドな世界をいかにもそれらしい、しかし架空のサウンドトラックで表現してるんだけども、せいぜい30秒とか長くて1分とかそのくらいの音のカタマリがイメージを変えて次々に発射されてくる。ときに効果音のようであったりテレビ映画のオープニングテーマのようであったり、それこそ悲鳴のような声とかナレーションとかいろんなサウンドがめまぐるしく入れ替わり立ち替わり出ては消えて、こういうのを音のコラージュとでも言うんだろうか。いかにもジョン・ゾーンならではって感じでね。

とにかく、あっ、これはちょっとキモチいいフレーズだなと一瞬ウットリしかかっても、次の瞬間には容赦なくギャギャギャギャギャーみたいなノイズに取って代わられたりする。まったくゾーンに振り回されるだけ振り回されてる感じがするんだけど、つい引き込まれちゃってさ。ジョン・ゾーンの映画好きと才気走った作風がうまいこと合致した感じなのかな。

ところでジャケットの写真は映画のスチル写真なので実際はこんな切り抜き写真なわけじゃない。じつは荒涼とした原野で撮影されていて、宍戸錠の開いた足の間の向こうには離れたところに立って彼に銃口を向ける小林旭が写ってる(映画のタイトルで検索して画像を探せばあるよ)。つまりあくまで顔の写ってる小林旭が主役で、決闘シーンみたいのを宍戸錠の側から低い位置で撮影したのがこの写真のモトなわけです。それをこうやって切り抜いてトリミングして白地に黒いカタマリの背中をグッと据えたデザインにしたんだから、これはもうデザイナーのたいした腕力だと思う (アートディレクションはCarin Goldbergていう人)

一転B面1曲目はアルバート・コリンズをゲストに迎えてエッジの効きまくったハードな電気ブルースギターの世界でこれがまたいいんだよ。もう完全にアルバート・コリンズ大会です。きっとゾーンはコリンズのファンなんだろうな。いやジャズのジャの字もないといえばそうなんだけど、これもまたいかにもジョン・ゾーンの世界だというような一筋縄ではいかない音楽にアルバート・コリンズの鋭いギターがきっちりハマってる感じ。このトラックはしかしある意味A面の印象を引き継いでるともいえるんだろうか、どっかハードボイルドっぽい臭いがする。

で、ラストはForbidden Fruit、禁断の果実つうタイトルだ。しかしジャケット裏には禁断の果実じゃなくて北原三枝、石原裕次郎、津川雅彦の写った56年の日活映画「狂った果実」のスチル写真が載ってる。またもや日本映画、しかも日活。こっちはジョーとアキラじゃなくって裕次郎だもんな。いやーこんだは何が始まるのかと思うとこれがまた全体に暗いトーンのストリングスにターンテーブルのノイズがからんでくる、ここまでとは別物の世界でさ。見ると演奏はクロノス・クヮルテットなんだよ。しかも聴き進むと日本語の詩が女の声で朗読される。最初聴いたとき、この声ってどっかで聴いたことあるよなあ、だけど全然思い出せないよなあ、だれかおれの知り合いだっけ? いやそんなことあるわけないもんなあなんて思いながらクレジット見たら太田裕美。木綿のハンカチーフの太田裕美。クロノス・クヮルテットに太田裕美、字を見ただけじゃ、どんな音楽なのかぜんぜん想像もつかないでしょ。だけどなぜ太田裕美。

というじつにジャケット欲しさに買い求めたのに、これは予想を超えて楽しめるアルバムなんでした。それからこのアルバムって音がいいんだよな。A面とB面のアルバート・コリンズはレコーディングエンジニアにRadio City StudioのDon Hünerbergとクレジット、クロノス・太田裕美のほうは日本録音でオノ・セイゲンの名前がクレジットされてるし、マスタリングはあのリマスター大王ボブ・ラディッグだ。そもそもレーベルがナンサッチだから悪いわけがないってばそうなんだし。

だけどなんつうか、こういうノイズ含みで次々と違ったテクスチュアのサウンドがめまぐるしく交錯するような音楽って、音悪いと最後まで聴き通すことすらツラかったりするからさ。こういう音楽を楽しむためには音の良さって必須だといつも思う。フリージャズのレコードでも、けっきょくよく聴いてるのとあまり聴かないのの違いって音質の良し悪しが大きいと、おれは実感として思うんだ。

ところでゾーンはスリーヴノートに、裏ジャケットいちばん下の北原三枝のことを「信じられないくらいイイ女だ」と書いている。深く同感するものなり。
ジョン・ゾーンついでに、いや、ついでじゃジョン・ゾーンにすまぬな_d0027243_10295192.jpg
CDはタワレコの企画で復刻されてるようです。

by god-zi-lla | 2014-09-11 14:43 | 常用レコード絵日記 | Comments(4)
最近買って聴いているニューアルバムのLP_d0027243_14122374.jpg
黄金週間の中休みに雨ってのは世間さま的には悪くないんでしょうね。

モノラルのオルトフォンCG25Diがプレーヤーにくっついててステレオレコードが聴けないころに買ったまま部屋の飾りと化していたレコードなのだった。

CROSSROADSは言うまでもなくクラプトン主催のマジソンスクエアガーデンで開かれたフェスティヴァルの実況盤だけど、なんとまあ4枚組でしかもボックスじゃなく文字通りのアルバムなり。よーするにコグチ側に4つのスリーヴがあるわけです。つまりパタパタするわけ。わかります? パタパタよ。わかんない? わかって下さい。だけど普通4枚組だったらボックスセットにするだろ、常識的に申し上げて。3枚だってすると思う。2枚組の箱入りだってけっこうあるし。いやーおれ、初めて見ました4枚パタパタするジャケットっていうの。だけど、じき壊れると思う。

中身はもうあれこれ申し上げません。しかしジャケット内側の写真にはB.B.キング御大のステージ姿があるのに音源の収録がないのはなぜですか。なんか残念なり。

話ちがいますけど、クラプトンは本当にもうワールドツアーやんないんですかね。原宿へトンカツ食べに来たついでに渋谷公会堂でちょっとライヴとか、どーすか。

いちばん左はピンクマティーニのGet Happyつう去年のアルバムですがLPのリリースもあるというので買おうとしたら、再入荷に半年くらい待たされてしまったのであった。同じ失敗をしないように次作のLPはamazon(あれ? HMVかも)で予約入れましたけど、そっちもそろそろ来るはずなんだ。

今回のアルバムに収録された日本語の歌は「ズンドコ節」。たいしたモンだねえ。ちゃちゃらちゃちゃちゃららちゃちゃちゃららー。ちなみに歌詞はトラディショナルなやつですけど(オリジナルかどうかは知らん)アレンジはドリフのヴァージョンに近い「ズッズッズッズッズッズンドッコッ、ズッズッズッズッズッズンドッコッ」の8ビートになっている(たしか元歌は『ずんどこ、ずんどこ、ずんどこ、ずんどこ』って2ビート)。しかしまあ毎度毎度、古い歌を発掘して聴かしてくれるもんだねえローダーデイル選手。これはゲートフォールドの2枚組。

その右は憂歌団、じゃなくて憂歌兄弟。木村・内田ふたりっきりのリユニオン。おれ、この人たちってずうーっと年上だと思ってたんですけど、おれより学年でたった3コ上なだけだったんだな。んー、まあいいんですけど。アルバムはギター小僧が二人でちまちま遊んでるような雰囲気もあっていい感じ。A面劈頭「思い出酒場」が、なんでもない歌だけど、なんかいい。もし来年のCROSSROADSに呼ばれたら、A2の「地獄谷クロスロード」で是非。しかし憂歌団=ブルーズバンドというより、おれはいまだに憂歌団てば「おそうじおばちゃん」のままだったりしてすいません。オビ付きシングルジャケットにLP1枚。1枚ってのがサイコーっす。

そして、ひとまわりちっこいのは喜納昌吉。タイトルは「忘んなよ」(わしんなよ)。7インチシングル2枚組に同内容のシングルCD1枚封入。見開きジャケットには竜やハート型などの金箔押しに青海波のカラ押しも散らされているという凝った装丁なのがすごいでしょ。写真ではよくわかんないかもしれないけどね。ふふふふ。

これはバラカンモーニングでかかったのを聴いて7インチ2枚という紹介はあったんだけど、ここまで凝ったデザインになってるとは思いませんでした(やけに高いな、とは思った)。ふつうにamazonで購入できたとこが良いですね。

あまりにもったいないので外側を保護するガワというか帙というか、そういうものをあり合わせの段ボールで急遽作って包んだ。でないと、あっというまに箔押しが剥がれ落ちて高松塚古墳みたいなことになっちゃうからね。

音楽は喜納昌吉のワイルドな歌にエレクトロニクス系のアレンジでなんかすごいが、喜納昌吉の歌のパワーがやっぱ勝ってる。4曲だけだからもっと聴きたい気もするが、インパクトあるからこのくらいがいいとこなのかもしれないな。

ところでニューアルバムのLPはCDのように売れても再プレスってことにはならず初回プレス売り切ったらそれでオシマイというケースが多いようだから、どうしても欲しければあらかじめLPも出るとわかってるものは予約、たまたま見かけたものはそのとき躊躇なく買うっつうようにワンチャンスに賭けるしかないみたいね。

なんぼLP再評価の風潮ったって当然ムカシのようにはまいりません。
by god-zi-lla | 2014-04-30 17:54 | 常用レコード絵日記 | Comments(0)