神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla
「外」があっての「内」でしょうけど、外はないのがSP盤。うふふ(おひさの吉例内袋鑑賞盤外篇)_d0027243_11005542.jpg



やっぱ「聴ける」ようになると買っちゃうよな。いや、SP盤のことですけどさ。

聴いてみたいけど聴く術がなきゃハードルは富士山より高い。しかし、いったん聴けるように環境が整ってしまえばハードルだと思ってたモンがじつはたんなる敷居だったりするんでした。なんちて。

あんまりこっち方面には手を出さないようにって、つね日頃自分で自分をイマシメておるわけなんですけどね。ついなんちゅうかこの、出来心というのでしょうか。

言い訳はともかくとしてAtlanticのSPレコードなんである。Atlanticってレコード会社は戦後の1947年にアーメト・アーティガンたちが作り、LPレコードってのはその翌年の48年からヨノナカに出回るようになったと物の本(つかウィキペディアですけど)には書いてある。ついでにいうと7インチシングル盤は49年から売られるようになったということだから、Atlanticの歴史はLPレコードや45回転シングル盤の歴史と一緒に始まったといってもいいようなもんだろう。

でもまあLPが世に出る前の1947年に会社がスタートしたんだから、最初に作って売ったレコードはSP盤だったに違いないんだ。

ところでハナシはちがうけど、かっちょいいよね、この内袋のデザイン。

じつはこれ見たら欲しくなっちゃってね。たいがいのSPレコードはジャケットなんてないからジャケ買いなんて言い方も多分ないわけで、だからまあ「ウチブクロ買い」とでも申しましょうか、いや、それじゃあんまり語呂が悪いから「ブクロ買い」とか。んー、なんか池袋の路地裏で良からぬブツでも買ってるみたいじゃん。

おれは持ってませんけど、昔の写真なんか見るとシングル盤の袋も同じデザインだ。こういうこと言っちゃナンだが、こんなふうにちゃんとデザインされた袋を出来立てホヤホヤの弱小レコード会社が作って使うところに、レコード売って一発当てようっつうヤマっ気だけが元手の経営者じゃなく、さすがトルコ大使の息子アーティガンは無一物から会社起こしたわけじゃなかったんだろうって思わせもする。

で、ウラはこれだ。



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「アトランティックはリズム・アンド・ブルーズの分野をリードします」って惹句が誇らしげで、いかにも新しいジャンルに切り込んでいく新しいレコード会社って感じだよな。

それにしてもこのミュージシャンのイラストレーションがまたいいんだよな。左上から時計回りにルース・ブラウン、ビッグ・ジョー・ターナー、エロール・ガーナー、ザ・クローヴァーズ。

たんなる「袋の絵」なのに、なんてかっちょいいんだ。それにどっか崎陽軒のシウマイ弁当の醤油差しの「ひょうちゃん」みたいなほのぼのとした味わいもあるしね。

だけどエロール・ガーナーのこのシワシワ顔はなんなんだ。すぐ上のビッグ・ジョーよりずっと年下でこのころは多分まだ30代の初めだと思うのに、この描き方はちょっと可哀想なんじゃあるまいか(でもガーナーはジャズのひとっていうよりR&Bのひとって認識だったのね)。

それはさておき、この袋の中身は左上のルース・ブラウンのレコードです。

この面には〈Am I Making The Same Mistake Again?〉、それから上の写真に写ってるほうの面に入ってるのが〈Teardrops From My Eyes〉。

この〈Teardrops From My Eyes〉がビルボードのR&Bチャートで11週連続でトップに立って、ルースは一躍R&Bの「女王」になり、同時にまだ小さなレコード会社だったアトランティックの台所を大いに潤わせたんだってね。それが1950年のことだった。

つうことはつまりこのSP盤はおそらく7インチシングル盤と当時併売されてたんだと思う。で想像するにメインでプレスされたのはこのSP盤のほうじゃなかったか。なにしろ45rpmの7インチ盤が登場したのはこのレコードが登場する前年、49年のことだ。

CDがヨノナカに出たころのことを思い出してみる。1982年鳴り物入りで(まあ鳴り物を収録してるわけですけど)この世界初のデジタルメディアは登場したわけだ。そして翌年の83年。なにしろCDラジカセだってCDウォークマンだってまだカゲもカタチもないんだから、そんな時期にキカイを買ってCDを聴いてたヤツなんてのはカネだけはうなるほど持ってるオッチョコチョイ野郎(まあ、新しもの好きとか先見の明とか言ってもいいけどさ)だったとしか言いようがない。いわんやずっと時の歩みのおっとりとした50年代をや。

もしかしたら家庭用の蓄音機よりもジュークボックスのほうが先に45rpm7インチ盤に移行してったかもしれない。なにしろ収録時間はほとんどおんなじなのに、7インチ盤は軽くて小さくて割れないんだから圧倒的に扱いやすかったろうからね。

まあいずれにせよそういう時代の、つまりSPレコードの「終わりの始まり」頃の盤なのは間違いない。

そのせいかどうかわかんないけど、この盤ノイズも少なくてけっこう聴きやすい。自慢じゃないが安物レコード買いのおれんちにはこれよりジャリジャリいうLPや7インチがどう考えたって200枚はありますね(いや300枚かも)。

ルース・ブラウンの声も若い。だってまだ22歳だもん。バックはバド・ジョンソンのバンドだ。アーティガンたちはルースにギトギトのブルーズを歌わせるよりもややポップ寄りのシンガーで売り出そうとしてたようだから、どっちかっつうとジャズの人って認識のバド・ジョンソンのバンドの伴奏がいい感じ。もちろん当時のひとたちもこの雰囲気がいいと思ったからヒットチャートのトップに君臨したんだよな。

とか、したり顔で書いてますけども、いやじつは袋に先に目が行って肝心の曲のほうは手に入れるまであんまり(つか、ほとんど、つか、まったく)気にしてなかったりして(笑)

6、7年前に〈Atlantic R&B 1947-1974〉てCD10枚組のボックスセットが出て、その10枚のCDが入った「内袋」にこのデザインがあしらわれててね(時代時代のシングル盤の袋がいろいろ使われてる)。なるほどこういう感じだったのかって眺めてたわけだけども、そこに当然ルース・ブラウンの〈Teardrops …〉だって当時のトップヒットだから入ってるし、ちょっと前にはNASのHDDにも取り込んで聴いてた。

それがまさかSP盤が手元にやってきて聴けちゃったなんてね。

「ブクロ買い」もたまにゃ悪くないさ。




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by god-zi-lla | 2019-02-07 12:09 | 常用レコード絵日記 | Comments(5)
そして百姓町人の音曲は郭の外、じゃなくって内袋の反対側(吉例内袋鑑賞その23.7)_d0027243_10042794.jpg
どうも「さむらいジャパン」とか、そーゆーネーミングが苦手なタチでさ。自分が根っからの百姓町人だからかもしれませんけど、だいたいどこの国でも近代以降、武士道だのなんだのと武張ったことを声高に言う連中がいちばん姑息で弱虫と相場は決まってんだ。

まあそれはともかくとしてウラ面だ。

しかしこうして見るとアレですね。「コンセプトアルバム」というものが〈Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band〉をもって嚆矢とするという言い方がなるほどなあと思えるほどに、ヒットチューンをただ詰め込みましたっつうLPレコードばっかしだもんな(写真クリックして眺めておくれ)。

まさにこの内袋に印刷されたアルバムのかずかずが67年ビートルズがペパー軍曹を世に出した年のレコード界の実相を物語るものなのであった、なーんちて。

だけど「コンセプトアルバム」と聞くといつも思い出すのがコルトレーンの〈A Love Supreme〉でさ。1965年リリースのあの大傑作がコンセプトアルバムとかトータルアルバムと呼ばれないのは、ようするにそのコトバ自体がロック用語だってことなんだろうな。

まあそんなこたどーだっていいんですけど、LPレコード誕生以降ジャズのレコードにはコンセプトアルバムという言い方にあてはまりそうなのがいくつかあるもんだから、ジャズファンとしちゃちょっと気になるもんで(ペパー軍曹だって好きで、よく聴くんだけどさ)。

でさ、この面の下から2段目いちばん左。〈オールディーズ〉つうタイトルのサイケ調カヴァーデザインの1枚がビートルズです。ビートルズはこれ1枚のみ。オリジナルアルバムはなし。

ようするに、高いお金払ってLPレコード買うんだからよく知ったヒット曲がいっぱい入ってるレコードを買いたい、聴いたこともない曲も入ったオリジナルアルバム(コンセプトアルバムに限らず)なんていらないというのがごくフツーの消費者の正直なキモチだということを、ビートルズのあまたあるオリジナルアルバムを押しのけてたった1枚の編集盤がここに載っかってるという事実が雄弁に物語っているのであった、なーんて、そこまで言っていいのかどうか知りませんけど。

とにかくずっと見渡してみて、あーこれはオリジナルアルバムですねって言えそうなのは、このビートルズのある列のまん真ん中マル・ウォルドロンの〈Left Alone〉のみ(ジャケットにビリー・ホリデイの亡霊が立ってないけど)。むしろこのアルバムが異様に見えるくらい、とにかく「なんちゃらデラックス」と「ベストオブなんちゃら」だらけなんだ。

だけどさあ、上から3段目いちばん左〈スクリーン・ムード・デラックス〉とかその上の段右からふたつめ〈熱狂のタンゴ・デラックス〉なんつうのは、昔はポータブル電蓄とか「家具調ステレオ3点セット」とかそういうフツーの家庭用音楽再生装置のあるとくに音楽好きってほどでもないご家庭に1枚2枚転がってたもんでね。

いまだったら、どういうものが一般のご家庭にありふれた音楽ソフトなんでしょうか。もしかして、そんなものはもうフツーのおうちの中で探したってカゲもカタチもなかったりするのかしらん(ひところ、アダージョなんちゃらいうクラシックのコンピレーションCDがバカ売れしたりしましたけど)。

あーそうか。「ステレオ」ってのがないんだよな。もはや一般家庭には。

それはともかくとしてだな。このなかでいまおれが小遣い銭握ってレコード屋さんに買いに走りたいのは下から2段目の右から3枚、〈加山雄三のすべて〉〈加山雄三ハワイの休日〉〈加山雄三のすべて第2集〉。収録曲を見るとガキの頃おれがなけなしの小遣い貯めてシングル盤で買った曲がいくつも並んでるんだよ。けど家族で何回か引っ越ししてる間に、たぶん親が勝手に捨ててしまった(昔の親ってのはそういうことを平気でしたもんです)。

シングル盤のカタキをLP盤で取りたいぞ。

このLPが各1500円、合計4500円。
いまならオトナ買いできるもん。




by god-zi-lla | 2017-05-06 07:32 | 常用レコード絵日記 | Comments(2)
嗚呼懐かしき哉内袋鑑賞総天然色国内盤堂々初登場(吉例内袋鑑賞その734)_d0027243_10040561.jpg


もう、レジで検盤するとき肝心のレコードより内袋のほうに目が吸い寄せられて困ったもんである。

こいつは邦題〈ドン・エリス・オーケストラ モントレーのドン・エリス(ビッグ・バンドによる前衛的実験)〉つう東芝音工製のLP(原題はDon Ellis Orchestra 'Live' At Monterey!)に入ってたんだが、ウィキペディア英語版によるとこのアルバムは66年モンタレー・ジャズフェスティバルとパシフィック・ジャズフェスティバルで実況録音され翌67年にリリースされてるんだな。

瀬川昌久さんのライナーノートを読むと「…昨1966年9月に、カリフォルニヤ州のモントレーのジャズ祭で、大衆の面前で初演奏を行ったときの実況を伝えたものであります」とあるから、本国発売からそれほど時を経ずに国内盤もリリースされたらしい。

つうことは、このゴーカ総天然色の内袋に並んだアルバムのかずかずは67年当時の東芝音楽工業のカタログに載っかってたってことだ。

で片面は全部クラシック(上の写真の面)もう片面がそれ以外ということになっている。

これはどうも世界中どこのレコード会社でも、クラシックとポップス両方出してるばやい、こういう宣伝物はだいたいみんな「クラシックのエリア」と「それ以外のエリア」に分けてある気がするね。なんか城下町でおサムライさんはお城のまわりに家屋敷があって、それ以外の町人はその外側にテキトーに暮らしてるっつうような。

ま、べつにいいんですけどクラシックの面の左端一番上の、城下町なら筆頭家老のお屋敷かというところに鎮座ましましてるのはクリュイタンス/ベルリンフィルのベートーヴェン交響曲全集なり(写真クリックすると多少拡大されます)。6枚組8000円、ちょっとお徳用盤か。

そのとなりが同じクリュイタンス/ベルリンフィルの〈運命〉と〈未完成〉のカップリング。あったよなあ、町のレコード屋さんのクラシックコーナーって、この組み合わせのLPだらけだったもんな。ちょっとレコード買い慣れてくると恥ずかしくてレジに持ってけない感じ。

しかしクリュイタンスってばフランスの指揮者で、なんでその人がベルリンフィル振ったベートーヴェンが先頭なのか不思議でウィキペディア見ると67年に亡くなってる。つまりこの場所にクリュイタンスのベートーヴェン全集があるのは追悼盤的話題盤てことか。

その右はフルトヴェングラーなり。しかもベートーヴェン。しかもバイロイトの〈第九〉が当たり前のようにここに並んでる。2枚組3600円。ほんらいはこっちが「筆頭家老」だったのかもしれぬ(城下町にこだわり過ぎだってば)。

2段目にはチャイコフスキーの「3大バレエ」があるんですけど、これが3枚とも「ナレーター」に樫山文枝とあるんだ。バレエのナレーターってなに? ピーターと狼でも青少年のための管弦楽入門でもなくて「3大バレエ」だぜ。

いやー〈おはなはん〉だよねえ。樫山文枝さんてエヌエッチケーの朝の連続テレビドラマで最初に大ブレイクした人だもんなーと、これもウィキペディアでちょっと見たら案の定〈おはなはん〉は66年放送なのであった。いやー本来ナレーションなんかないバレエ音楽に「お茶の間のスター」の声を乗っけて荒稼ぎしてたなんて。チャイコフスキーもあの世でビックリだろうな(だけどちょっと聴いてみたい気もする)。

まあそういうのもありますけど、クレンペラーにサンソン・フランソワにダヴィッド・オイストラフにマリア・カラスなんて人たちがみんなバリバリ現役だった60年代後半なり。

下のほうへいくと黛敏郎の〈涅槃交響曲〉と團伊玖磨の〈夕鶴〉もある。あー五十嵐喜芳さんて人気あったよなあテレビにもよく出てたテノール歌手。〈ナポリの歌〉、イタリア民謡集か。

この一番下の列は日本人専用席になってるんだな。ぺーぺーのお侍さん。そのさらにどん尻のところの1枚は〈楽しい箏曲第3集〉、赤とんぼとか早春賦とかお琴で日本の歌を演奏してるアルバムみたい。これがクリュイタンスの対角線。御馬回り役四十俵二人扶持、ここから先は百姓町人の住む町屋である(どうしてもそこから離れられない)。


(町屋、いやB面、いやウラ面に続く)


by god-zi-lla | 2017-05-03 07:03 | 常用レコード絵日記 | Comments(2)
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あー1年どころじゃないっすね。前回は去年9月だった。まあネタもそうそうあるわけじゃないですし。だいち、ここんとこレコード買うといえば中古よりも新譜を買うことのほうがずっと多いんだ。それがすごくうれしくって仕方がないの。ぴっかぴかの新品LPを次から次へと買えるヨロコビ。

いつまで続くかわかりませんけど、いまはこの状態を楽しみたいもんですね。いずれブームは去り、そうするとブームの頃に買い漏らしたアルバムを中古として買うっていう時期が必ず来ると思うんだけど、そのときになったらなったで過ぎ去りしレコードブームの余韻にひたれるってもんでさ。あーそんな徒花のような時代もあったんだよねーなんて。

つうわけで最近は内袋の面白いのにもトンと出会いません。だから今回のはもう何年も前に買い求めたCadetレーベルのアルバムに入ってたヤツなんであった。

CadetってばChessレコードが作ったジャズ系レーベルだけども昔からよくArgo/Cadetっていう表記の仕方で紹介されてて、これってようするにChessがArgoってレーベルを社内に作ったあとイギリスに同名のクラシックのレーベルがあることがわかってCadetに改名したんだそうですね。同じような例のDeccaのほうは、英国が発祥で米国Deccaはもともと英Deccaが作った「現地法人」だったのが独立してしまい、かえって本場のほうが英国内でDeccaつう名前を使えなくなっちゃったというイキサツのようだな(米Columbiaと日本のコロムビアも同じか)。

それはともかく、Cadetはジャズ系のレーベルつうことでラムズィー・ルイスやオリヴァー・ネルソン、バンキー・グリーンにアーマッド・ジャマル、ルー・ドナルドソンなんて人たちのアルバムがずらずらと載ってるわけだけども、そこになぜかエッタ・ジェイムズのアルバムが紛れ込んでいる。

映画〈キャデラック・レコード〉を見て以来エッタ・ジェイムズといえばChessレコードの看板シンガーだったって強烈に刷り込まれちゃってるもんだから意外な感じもしたんだけど、こうしてディスコグラフィを見てみると大半のアルバムはArgo/Cadetからリリースされてたんだ。まあ、このへんはプレスティッジ系列のNEW JAZZだとかと一緒で、もともとは何か本家とは違ったコンセプトに基づいて作られたレーベルだったのがいつのまにかウヤムヤになっちゃったのと同じかもしれないな。

そもそもこの内袋が入ってたのがエッタ・ジェイムズの〈Tell Mama〉なんだよ。あのマッスルショールズのフェイム・ステュディオで作られた名盤、これもCadetレーベルなんであった。

それ以外にヘンに目を引くのが上の写真の上から2列目いちばん右のボブ・ホープ〈ON THE ROAD TO VIETNAM〉で、御大は迷彩服に身を包んで青空の下、マイクロフォンに向かって何か語っている。

前線へ慰問に行ってんだな。1964年冬、ヴィエトナム戦争に従軍してる米兵たちの前で漫談(アメリカだからスタンダップ・コメディか)をするボブ・ホープ。どうもその実況録音盤らしい。ネット上で見つけたジャケット裏の写真を見るとA面に12月24日ヴィエトナムのビエンホア、27日のダナン、あるいはソウルの文字も見える。B面にはタン・ソン・ニュット、フィリピンのクラーク基地(みんな当時のニュースで覚えた地名だ!)なんかに混じって〈OKINAWA〉の文字がある。嘉手納がB52による北爆の基地になった初めが65年というから、その前年だ。んー、こんなレコードもCadetは出してたのか。

しかしそれから半世紀、世界のありとあらゆる果ての果てまで出張っては頼まれもしないのに人迷惑も顧みず(わざわざお笑い芸人まで引き連れて)どんな国境線でもチカラづくで踏み越えて飽きることのなかった超大国アメリカが、ついに疲れ果てて国境に万里の長城築くと公約した大統領のもとで内弁慶主義に舵を切ったのであった(まあそんなこたどーだっていいんだが)。
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だけどね。この内袋でいちばんビックリなのはこの写真じゃわかりにくいかもしれませんけど(写真クリックすると多少大きく見えます)、上から2列目左から3枚目ルー・ドナルドソン〈POSSUM HEAD〉の写真の下辺に見える丸いシミのようなもの。

これって「穴」なんだよ。これはいわゆるカット盤ってヤツで、まあ普通ジャケットのカドを小さく斜めに切り飛ばしてあったり、そういうあたりに錐で穴を穿ってあったりするその穴がこんなとこににあるわけだ。

もちろん内袋だけに穴開けたわけじゃなくって、ジャケットの同じ位置にも穴がある。下の写真がそのジャケットですけども、ちょうどタイトル文字「E」のすぐ左側、髪の毛と背景色の境目に丸い穴が見えている(これも写真クリックでやや大きくなります)。つまりキリだかドリルだかをこの位置にグサっとぶっ立てて内袋もろとも串刺しにしたわけだ下手人は。なんて大胆不敵な犯行なんだ。
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しかし待て。つうことはアレじゃないか。ジャケットと内袋を串刺しにしたということはレコードもイってしまったということではないか。いやー、ウチにはカット盤なんて山とありますけど、こういう狼藉を働かれたレコードというのはこの1枚しかないよ。
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トラック番号「5」がありません。

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by god-zi-lla | 2016-11-11 15:13 | 常用レコード絵日記 | Comments(3)
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内袋についた応募券を集めると、もれなく当たる_d0027243_10473345.jpg

つうようなわけで久しぶりの内袋鑑賞会なんでございますが(そんな集まりはもちろんありませんけど)、今回の内袋はWORLD PACIFICレーベルのアルバムに入ってたヤツです。ところでいちばん上の写真の右下端を見ると応募券のようなものが印刷されてる。むかしレコードで音楽聴くのがごくありふれた生活だった時代にごくありふれたLPレコード買ってくると、オビの下のほうとか裏側とかに応募券が印刷してあることがよくあったじゃんか。そいつを何枚か集めると非売品の特別なレコードくれたり同じシリーズのレコードくれたり、あるいはなんかのグッズをくれたりっていうクーポンプレゼント企画というのがあってさ。このパシフィックもおんなじ。こういう販促企画に洋の東西はないみたいね。

そしてなにをもらえるかっつうと、添えられた惹句には〈今、4番目のワールドパシフィックのハイファイLPアルバムにあなたの支払うお金はないです〉とあります。んー。なんか自分の英語力というものに暗澹たる気分であるな(いや日本語力もか)。

ようするに期間中、ワールドパシフィックのアルバムどれでも3枚お求めになれば、このページに出ている21枚のアルバムのうちどれか1枚をもれなく差し上げますというわけで、写真小さくてわかりにくいでしょうけどチェット・ベイカー、ジェリー・マリガン、バド・シャンク、ビル・パーキンスなどウェストコースト・ジャズの錚々たるメンメンがうち揃って皆さまをお待ち申し上げているわけなんだな。

だけどおれ、こういうクーポン集めてレコードもらったことって一度もないの。興味ないわけじゃないんだけどね。ようするにこういう応募券集める根気がない、買い続けるおカネがない、ヨソの企画に気が移ってしまう。そうかと思うと、あ、いつのまにか応募券の数そろってるじゃんと気付いたときには締め切りがとうの昔に過ぎてたりしてさ。まあ理由はいろいろですけど、とにかくウチにはそういうプレゼントでもらったレコードって1枚もない。

自分が続かないもんだから、こういうのってホントにみんな一生懸命集めたりするもんなのかってつい疑っちゃうんだけどさ。だけど実際そういうレコードが何年かたつと中古市場に出回ったりするんだから、やっぱりクーポン集めて送る人はけっこういらっしゃったんでしょうね。じゃなかったら、そもそも同じような企画がいろんなレコード会社から出てくるわけないもんな。

しかしさすがにこの時代アメリカのレコード会社のプレゼントに日本から応募した人ってのはいなかったろうね。輸入盤買い集めてるマニアはいたでしょうが、1ドル送るったって今とちがってカード決済もPayPalもありませんから手数料払って郵便局で為替を組んだりしなきゃいけなかったろうしさ。そのうえこっちからの郵便代やらなんやら(ことによったら通関手続きとか)、市販のレコード1枚もらうためだけに普通そこまでやりません。

だけどこれが非売品のレコードとか珍しいグッズくれたりするんだったら考えちゃったりしたでしょうね往時の蒐集家のみなさまだって。パシフィックだったらチェット・ベイカーのサイン入りTシャツとかさ(そんなのくれるんだったら、今なら欲しい人すげー多いんだろうなあ。おれはいりませんけど)。

それはともかくとしてだな。じつはこの内袋に載ってる50何枚かのアルバムのうち、この内袋の入ってた1枚を買うまでおれはここに載ってるアルバム、ただの1枚も持ってなかったんだよ。いやあ、こんなこと珍しいんだけどね(だからダラダラとクーポンプレゼントのことなんか書いてんです)。

で、これが入ってたのはこのアルバムなのだった。
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いやーじつにまったくナイスガイってのは、こういうオトコのためにある言葉じゃなかと思っちゃうような写真ではありますまいか。つややかなブロンドの髪を七三に分けて爽やかに微笑むボブ・ブルックマイヤー、このとき多分29歳。ヘーイ、ボブ! ご機嫌だぜ。なんちて。

そのボブ 〈ナイスガイ〉 ブルックマイヤーがTRADITIONALISM REVISITED(WORLD PACIFIC PJ-1233)つうタイトルでジミー・ジュフリーやジム・ホールと1920-30年代の古いスタイルのジャズをやってるアルバムでね。じつは買って聴いてみるまでこういうスタイルでやってるアルバムだとはツユ知らなかったんでした。おれとしてはもちろんジュフリー探求(ってほどでもないけど)の続きで買ったので、そこはトラディショナルといいながらジュフリーが凝ったアレンジを施して同志ジム・ホールも交えてクールかつモダンかつトラディショナルなジャズをやってるのかと思ったら豈図らんや、ホントにトラディショナルなジャズをおっとりとやってるんでした。いやーこれは意外なり。途中ちょっと何かやりたそうな音をジム・ホールが2、3出したりするけどもそれはそれだけでね。

これはこれでじつに結構なアルバムではあると思うんだけどさ。いかにせん聴いてる自分のほうにトラディショナルなジャズをゆったりと楽しむ教養が少なからず欠けてるもんですから、アルバムを通して聴いてると途中で飽きてきちゃうんだよ。んーむ、まだまだジャズの修行が足りてません。すみません、出直して参りますという感じ。

だけど、どうしてこんなトラディショナルなアルバムを1959年なんてハードバップ大爆発の時期に作ったんだろうか。そのへんになんだか時代の流れをクールに見ているジミー・ジュフリーたちの思うところがあったのかもなあなんてね。ちょっと思わないでもないのであった。
by god-zi-lla | 2015-09-15 22:38 | 常用レコード絵日記 | Comments(0)
こーゆーのやってたことすら忘却の彼方なのよ内袋鑑賞その20_d0027243_16243838.jpg
こーゆーのやってたことすら忘却の彼方なのよ内袋鑑賞その20_d0027243_1624574.jpg
2年ちょいのご無沙汰でございました。じつに26か月のブランクなり内袋鑑賞大会。
(写真クリックすると、少しデカく別窓表示されるハズです)

大スターがきら星のように並んだメイジャーレーベルのカラー美麗内袋とかね。それからレコードのお手入れの仕方だの、レコードが出来るまでなんて昔の少年雑誌の口絵特集みたいのだの、あるいは自分とこで出してるポータブル電蓄の宣伝が写真入りで印刷されてたり、そういうなんとなく面白かったり風変わりだったりする内袋を眺めるのはけっこう面白いもんなんだけどさ。あーそれから小さなレコード会社の見たこともないようなアルバムがいっぱい並んでて、いったいこれはどういう音楽なのであろうかなんて中身を想像するのもけっこう楽しいもんだってのも忘れちゃいけません。

このプレスティッジの内袋はべつにきのう今日買ったLPに入ってたわけじゃなくって、もうずいぶん前からウチにあるんだけどさ。ウラオモテ72枚のアルバムが(どっちがオモテでどっちがウラか知らないけど)ただたんに6列6段が2面べたべたと並んでるだけで、なんだかあんまり面白くない。しかもまるで知らないミュージシャンのレコードなんてただの1枚もないし、なにより数えてみると72枚のうちの20何枚かはすでにウチの棚にあるんだ。プレスティッジだから仕方ないってば仕方ないんだけどね。

ちなみにこの内袋はいつごろのモンかといいますと、カタログ番号のいちばん新しい7195シャーリー・スコットのSHIRLEY'S SOUNDSは1959年の録音なんだがジャズ批評社刊ご存じ「プレスティッジブック」で調べてみると72枚のうちでいちばん新しい録音は7192番のジーン・アモンズ"JUG"(前後のダブルクォーテーション含めてタイトル名)の61年のようだから多分61年かそれより少し後に発売されたLPにセットされたんだと思う。
以上。

まあそれでオシマイにするのもなんですから72枚の「ミュージシャン別枚数内訳」なんつうのをヒマにまかせて勘定してみたのであった。
マイルス・デイヴィス 11
シャーリー・スコット 8
エディ"ロックジョー"デイヴィス 7
ジーン・アモンズ 7
ジョン・コルトレーン 6
レッド・ガーランド 6
モーズ・アリソン 5
ソニー・ロリンズ 5
アーネット・コブ 4
MJQ 3
セロニアス・モンク 3
ウィリス・ジャクスン 3
ポール・クイニシェット 2
エッタ・ジェイムズ 2
"ブラザー"ジャック・マクダフ 2
アニー・ロス 1
ジョニー・グリフィン 1
ジョン・ライト 1
ジェイムズ・ムーディー 1
合計が72を超えるのは双頭バンドをそれぞれにカウントしたからです。まあマイルスがトップなのはさすがジャズ界の大スターって感じだけどさ。シャーリー・スコットや岩顎旦那、アモンズあたりがコルトレーンやロリンズよりも上に来てるのだってまあ予想通りだよ。

それよりも、ちょいと意外なのはモーズ・アリソンがソニー・ロリンズと肩を並べてるとこでね。なるほどなあ。ジャズというよりもたぶんピアノ弾き語りのちょっと風変わりなフォークロックみたいな感じで、プレスティッジの常連のお客さんとは違うひとたちがきっとアリソンのふふふふふんってヴォーカルと少しトラディショナルな風味のピアノを気に入って買ってたんだろうな。なんかさ、このへんの雑種感というか趣味の広さというか多彩さというかブルーノートにくらべてウツワの大きいところが(Moon Dogもいるし)、プレスティッジ好きのおれなんかとしてはちょっと楽しいのであった。

それにしたってこの内袋。絵的にはぜーんぜん面白くもなんともない。そういえばブルーノートのこれと体裁も色使いも似てるし(つか同じ)、どっちが先にこうしたのか知りませんけどまあ当時の吹けば飛ぶよなインディーズ会社としたらこんなとこリード・マイルスとかにやらしてデザイン料発生さすわけにもいかなかったでしょうから、とにかく売れ筋のカタログ並べて内袋の両面埋めとこうじゃんて感じだったんだろうな。

それでハナシはぜんぜん違うんですけど、この片面36枚の並び順なんだけどさ。最初どうなってんのかさっぱりわかんなかったんだよ。それがいい加減長い時間じいーっと睨んでたら上の写真の左肩シャーリー・スコットの7195番が一番新しい番号で、そこから下に向かってだんだん古くなっていってるのにやっと気づいた。

そしてその列の下までいくと(ジョン・ライトの7190番)ひとつ右の列に移って一番上のモーズ・アリソンの7189番になり、ふたたび下に向かって古くなっていく。つうことで72枚のうちでいちばん古い番号なのが下の写真の右下端MJQの7005番なんだけどさ。

昇順か降順かは置いとくとしてですね。左上から右下に向かってタテに並んでるとはまさか思いもしなくってさ。こういう「タテ書き感覚」な並び方(しかも左側から)ってべつに驚くようなことじゃないんでしょうか。アメリカじゃあべつにこれでフツーとか、そういうことですかね。あるいは日本だってべつに不思議でもなんでもなくて、意外に思うおれがいちばん意外なヤツだったりするんでしょうか。左上が起点だったらそこから右に移動してって右端まで行ったらその下の行に降りてまた左端から右端へという「ヨコ書き感覚」が自然だとおれは思ったんだけど。違う? んー。よくわからん。べつにどーだっていいんだけど。

ちなみに先ほど触れたブルーノートのやつは並び順に規則性はありません。4000番台の間に1500番台が挟まってたりするからね。

あ。いや、もしかするとこれも何かおれの気づかないヒミツの約束事で並んでたりするのか?
んー。つまらんと思ってたものが意外に深かったりして。
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by god-zi-lla | 2015-01-24 16:25 | 常用レコード絵日記 | Comments(4)
なんだかアタマがうっとうしいルーマーちゃん(Rumer/BOYS DON\'T CRY)_d0027243_1844528.jpg
さいきん買って聴いた若いコのLPシリーズ第2弾! なんちて。

ルーマーちゃんは79年生まれのことし33歳だそうです。
ジャスミン・カラちゃんよりは年上だけど、おじさんから見たらじゅうぶん若いぞ!

いやべつにそんなとこでリキまなくたっていいんですけどさ。

もともとこのひとは自作自演歌手なんだそうだけど、それがなんだか10人のおっさん自作自演歌手の70年代の歌をカヴァーしたアルバムを作ってちょいと話題になってるうえにカレン・カーペンターに声が似てるっていうもんだから、いったいぜんたいどんなんだとガゼン興味がわいてきたのでした。

しかもLPもリリースされてるっていうじゃんか。

で、買ってみたらこれがイマドキ珍しいちゃんとしたジャケットに収まったアルバムでね。
おじさんはもうそれだけで聴く前からこのアルバムを気に入ってしまったのだった。

なにせこのご時世にゲートフォールドですぜ旦那。

しかもこいつはLP2枚を仕方なくダブルスリーヴ(っていうのかな)にしてるとかじゃなく盤は1枚だけどわざわざ見開きジャケットにしたっつう、impulse!レーベルみたいな正真正銘のゲートフォールドなんだよな。うれしいよねえ。もう意味もなくうれしいよおじさんは。

だいたいさ。
さいきんニューアルバムをLPでもリリースするケースが増えてるったって、ジャケットはまあ本でいったらペイパーバックって感じのあんまり手のかかってないヤツが大半でさ。なんちゅうかこう手にしたときのウフフ感が欠如してるとでもいいますか、デザインもたんにCDのパッケージを拡大しただけの間延びしたようなのがほとんどでね。

いやべつに分厚けりゃいいとかじゃなくてね。
たとえば英DECCAのコーティングしたペラジャケみたいにお金のかけ方はそれほどじゃないけどウチはこれで行くんだからねっていう感じとかさ(わかりにくいっすかね)、なんかそういう差異感というかCDのプラケースとは素材の感触からしてレーベルごとにみんな違うっていうプライドっつうか。いかんな。ますますわかりにくくなっているけど、とにかくそんな感じのね。

まあLP出してくれるだけでもありがたいんだから、あんまり文句いうとバチ当たっちゃうからアレだけどさ。いまどきLPなんて出しゃ物好きなヤツらは黙ってたって買うから容れ物はテキトーでオッケーみたいな、エサ箱ん中で自己主張して意地でも買ってもらおうじゃんかっていう心意気ってのがないよね。

まあそれはともかくとしてだな。右に写ってるのは内袋で、カヴァーしたおっさんたちの曲を収めたアルバムを1点1点紹介してるんだけどさ。たぶんCDに付いてるブックレットかなんかにも同じものが掲載されてるんでしょうけど、こうやって内袋に一面ジャケットの写真ずらずら並べてくれるだけでもうLPリリースする意味があるってもんだ。
Richie Havens/ It Could Be The First Day
Todd Rungren/Be Nice To Me
Paul Williams/Travelin' Boy
Terry Reid/Brave Awakening
Neil Young/A Man Needs A Maid
Tim Hardin/Andre Johray
Jimmy Webb/P.F. Sloan
Clifford T Ward/Home Thoughts From Abroad
Leon Russell/My Cricket
Stephen Bishop/Same Old Tears On A New Background
なんだかCDは輸入盤と国内盤いろいろ出回ってて一番収録トラックが多いのには17曲も入ってるのがあるみたいだから、そっちのほうがいいじゃんかっていう人も断然多いんだろうけどさ。おれにはこのA面B面それぞれ5曲、合計10曲でLP1枚っつうのが非常にほどよく「適量」って感じでとってもいいです。洗剤やシャンプーの詰め替えじゃないんだから増量してありゃなんでもおトクってもんでもないと思うんだがなあ。

それにしても知らない曲ばっかりだ。
本人の思うところあっての選曲なんだろうな。

歌はとってもよいです。
カレン・カーペンターに似てるといわれればたしかにその系列の声だと思うし、アレンジもそれをどっか意識してるようなしてないようなリチャード・カーペンター風といえばそういう感じではあって、一種の既視感に浸ってるような気分になってきたりするんだけどね。

だけどね、ちょっとカレンに似てるという話につられて聴き初めて思ったんだけども、カレン・カーペンターというシンガーは自分の声を完全にコントロールし切ってどこにも破綻を来すことのない尋常ならざる強靱さで歌をうたう人だったんだなあって、ルーマーちゃんには悪いんだけどそんなことを唐突に考えてしまったんだよ。

ようするにルーマーちゃんはカレンとは似てなくてもっと普通なシンガーで、それは非常にけっこうなことなんだと思ったね。それにルーマーは自作自演歌手でカレン・カーペンターはそうじゃないんだから、他人の歌をうたってそれにどうこう言われても(しかもカレン・カーペンターなんかと比べられても)困っちゃうかもしれないもんな。こんどは自分の曲をうたってるアルバムを聴いてみよう。

しかしまあなんですよ。いろんな意味で楽しめるアルバムを買えて、これはうれしかったな。
もっといっぱい聴きたい人はCD買うといいと思うんだが、おれはほかにも聴きたい音楽がいっぱいあるのに時間足らなくて困っちゃってるからこのくらいがいいです。
なんだかアタマがうっとうしいルーマーちゃん(Rumer/BOYS DON\'T CRY)_d0027243_1054127.jpg
これはジャケットと内袋の裏側。
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それからこれがゲートフォールドの内側見開き。
なんだかアタマがうっとうしいルーマーちゃん(Rumer/BOYS DON\'T CRY)_d0027243_11162820.jpg
で、これがレーベルのA面とB面すね。
Boys Don't Cryの書き文字はGeorge Agerって8歳の子どもってクレジットがあるんだけど、ブランコに乗ってるこの子かな。

いまどきのレコードジャケットとしちゃ、けっこう頑張ってるほうでしょ。
それはいいんだけどルーマーちゃんのうっとうしいヘアスタイルといったらもう。
by god-zi-lla | 2012-11-01 11:31 | 常用レコード絵日記 | Comments(0)
とりあえず写真クリックすると少しデカくなりますから、御用とお急ぎでない皆々様は眺めといてくださいまし。
音盤のお世話するコロムビア嬢(吉例内袋鑑賞その19)_d0027243_23343617.jpg
音盤のお世話するコロムビア嬢(吉例内袋鑑賞その19)_d0027243_23352168.jpg
どっこい生きてるぜ。
じゃなくて、

1週間のご無沙汰でございました。

この1週間映画を2本見て一夜はライヴに行き歯医者じゃ「いよいよこれは抜歯だね」と引導渡され胃カメラ飲みにかかりつけの病院行ったらお医者さんはキャバ嬢みたいだし、どんどん涼しくなるのにTシャツ短パンの生活に生命の危険を感じて衣更えを大慌てでやってたりしてまったくブログどころじゃない1週間だったんだからね。

そのうえああた。昨夜遅く帰宅するなり息子が
「あーやっと1週間終わったあー」なんて、
いっぱし勤め人みたいなことホザくし。

いやべつにいいんだけどさ。

そういえばちょっと前に世田谷パブリックシアターで串田和美の芝居も見てたんだった。
ついでに申し上げますとこの1週間に見た映画2本はコッホ先生と僕らの革命つうドイツの映画と最強のふたりって、これはけっこう評判にもなって劇場も混雑してるおフランス映画(ついフランスに『お』をつけちゃうのは赤塚不二夫先生のおかげです)なんでした。

だからまあブログのネタはいくらだってありそうなモンだが書くのメンドい。

で全然なんの脈絡もないんだけどたまたま引っぱり出して聴いてたジジ・グライスとドナルド・バードのJAZZ LABのCOLUMBIA盤の内袋が目についたもんだからお馴染み内袋鑑賞会やることにします。

ジジとドナルドがJAZZ LABつう名前のバンドでレコーディングしてたのは57年1月から9月のたった9か月のあいだで、そのわずかな間にLP6枚ぶんの録音を残したってのはずいぶん前に書きましたがこれはそのうちの1枚なんだけど実際いつリリースされたのかはよくわかんない。

いやそんなことより内袋だ。
なにが気に入ってるってもうアレですよ。上のほうの写真take care of your records... のとこに写ってるお嬢さん(ってもご存命なら80代より上かな)のお召しになっているふわっと広がったこのスカート。

なんか、いい感じだよなあ。
いかにも50年代ぽくクラシックでさ。
清楚な雰囲気も漂ってますしね。

こういうお嬢さんにかけられたり拭かれたりしてるレコード野郎も本望だろうな。
なんのこっちゃ。

ようするに中身はこの時代の内袋によくある別になんてことのないレコードの取り扱いについての注意書きなんだけどね。

曰く、レコードはつねにフチとまん中を持ってミゾのあるとこに触れるべからず。
曰く、レコードをしまうときはジャケットの口を曲げて広げたとこに押し込め。
曰く、レコードをかける前に少し湿った布で優しく軽く拭くべし。
曰く、レコードアルバムは垂直に収納すべし。

みたいな。

だけど、こういうお嬢さんに言われると説得力があるよね。
(しかしジャケットこんなふうに口開けるのってちょっと乱暴)

とにかく、このふわっと広がったスカート、それだけにやられたわけです。

だからまあ、あとはどーだっていいんだ(笑)
下にレコード針の拡大写真とかあるしいちばん右のやつはオスミウム針なんて聞いたことないブツだったりするけど、顔も写ってないこのコロムビア嬢(勝手に命名してすいません)のお姿にくらべたらぜーんぜんどうだっていいもんね。

まあウラ面もどっちだっていいんですけど上から2段目左にあるドリス・デイのザ・パジャマ・ゲームってのがかなりグっときます(笑) この写真じゃわかりませんけどハート柄のパジャマをお召しになってますねドリス・デイは。ちょっと欲しいぞ。

上の段の黒っぽいの4枚はパーシー・フェイス楽団のガーシュウィン集、ポール・ウェストン楽団のジェローム・カーン集、アンドレ・コステラネッツ楽団のリチャード・ロジャース集、ミシェル・ルグラン楽団のコール・ポーター集。どれもレコード番号にC2Lとあるのは2枚組なのかな。

やっぱ王道って感じだよな。
くれるなら欲しい。

ドリス・デイの右2つめはローズマリー・クルーニー&ハイロウズ。

そういえばローズマリー・クルーニーってジョージ・クルーニーのオバさんなんですってね。

下2段はクラシックでフィラデルフィア管にオーマンディ、ニューヨークフィルハーモニックにはミトロプーロス。バーンスタインの時代はまだ始まってないんだな。なるほど57年とか58年つうのはそういう時代ではあったんだ。

それにしてもいちばん下の段ルドルフ・ゼルキンのわりとテキトーそうなインチキ臭い笑顔と、そのとなりのワルターのなんともいえないブキミな悪党ヅラ。コロムビアもこーゆージャケット出してマエストロに叱られなかったんですかね

つうわけで、こいつが入ってたのは下のアルバムです。
ジャケットの抽象画のすみっこにFujitaっていう署名があるんだけど、どういう絵描きさんなんだろう。日本人? 日系アメリカ人? おれ持ってないから確認できないんだけどデイヴ・ブルーベックのTIMEOUTのジャケット絵もこんな感じだったかな。もしかして同じ絵描きさんの作品ですか。

右下の魚がなんとなくコイノボリみたいなんだよ。
音盤のお世話するコロムビア嬢(吉例内袋鑑賞その19)_d0027243_23302515.jpg

by god-zi-lla | 2012-10-20 07:46 | 常用レコード絵日記 | Comments(6)
出来立てほやほやCTIはカタログ足らなくてメキシコ風アダム&イブてか(吉例内袋鑑賞その4649)_d0027243_659147.jpg
きょう健康診断でバリウム飲むので昨夜9時から水分を摂取しておりません。

そろそろ、ちょっと苦しい。

失敗したなあ。
健診の日程なんて来月だってぜんぜん悪くなかったんだよなー。
涼しくなってからだったら、べつになんでもなかったのに。

まだクソ暑いこの季節に水飲むななんて、そりゃ殺生ってもんでしょ。

しかしこうやって見てみるとレコードの内袋つうよりアレだな。むかし友だちが新婚旅行のミヤゲにくれてジャマで仕方ないのに捨てられなくて困ってるわけわかんねー粘土細工の人形を、なに血迷ったかクシャクシャの赤い紙をバックにして写真撮ったようにしか見えんな。

念のため申し上げますが、たんなる1枚のレコード内袋でございます。

A&Mだからメキシコ土産ですかね。
ティファナとか。あれ? ティファナはアメリカだっけ。

A&Mといえば、ハーブ・アルパートとティファナブラス。

そういえば今月のレコードコレクターズ誌のA&M特集読んだら、ティファナブラスつうのはレコーディングのたんびにハーブ・アルパートが集めたスタジオミュージシャンなのでその都度ぜんぜん違うメンツだったんだってね。

ぜんぜん知りませんでした。
べつにどーだっていいんですけど。

それにしたってLPレコードの内袋としたら相当こいつはヘンチクリンなデザインだよ。
なんか伝統的な民芸品かなんかですかね。メキシコだかロサンゼルスだかカリフォルニアだか。

とにかくなんの説明もなくアダムとイヴのイヴとおぼしき右側の人形が持ってるリンゴ(アダムとイヴだったら多分)にA&Mのロゴがついてて、ただそれだけ。

出来立てほやほやCTIはカタログ足らなくてメキシコ風アダム&イブてか(吉例内袋鑑賞その4649)_d0027243_658561.jpg
反対側。

A&M/CTIレーベルのアルバムが3001番から3018番まで連番で18枚、左上から右下に向かって順番どおりキレイにならんでいる。

だけど上半分にはアダムくんとイヴちゃんだ。
ようするにこれ印刷した時点では18枚っきりCTIのレコード出てなかったってことだな。
なにせこれが入ってたのが3023番のクインシー・ジョーンズWALKING IN SPACEだからね。
まだまだ内袋埋め尽くすほどのカタログ充実にはほど遠かったってことです。

だけどその18枚がたいしたモンだっていうか、CTIっていうレーベルはだんだんCTIになってったんじゃなくていきなり最初っからバシっとCTIだったんだっていうことが如実にわかりますね。

1番がウェス・モンゴメリーのA DAY IN THE LIFE。
2番がアントニオ・カルロス・ジョビンのWAVE。

3番はハービー・マンのTHE GLORY OF LOVE。4番のTampa4ってのがよくわかんないけど5番がナット・アダレイ。6番でまたウェス・モンゴメリー。ウェスは18枚中3枚もある。

以下カイ・ウィンディングとJ.J.ジョンソンのコンビが2枚とかジョージ・ベンソンとかポール・デズモンドとか、あーなるほどこのレーベルはこの路線ですってはっきりわかるラインアップで、さすが大プロデューサー、クリード・テイラーっていう感じがする。

それはいいんだけど、なんで空いたところにこんなミヤゲ物を置くかなあ。
こんなに格好いいデザインのゲートフォールドジャケットつぎつぎに送り出しといて、これはちょっとないんじゃないんですかね。

それともこれはそんな空港の免税店で売ってる新婚旅行のミヤゲ品なんかじゃなくって、じつは世にも名高いゲージツ品だったりするんですかね。あるいはなにかの縁起物? こいつのおかげでCTIはA&Mから独立できたとか?

んー。

なんだっていいんだけど、のど渇いてきた。
あと3時間でバリウムだ。

苦しい。
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by god-zi-lla | 2012-09-05 06:59 | 常用レコード絵日記 | Comments(2)
THE VINTAGE YEARS unforgettable favorites by THE NAT KING COLE TRIO_d0027243_1304664.jpg
突然なにごとかと思われるでしょうけどナット・キング・コールす。
おれ的にはこいつも2011年の収穫のひとつだったんだ。

あくまで、おれ的ね。
稀少とか高額とか珍品とか、そーゆーのでは全然ないの。
ときどき買ってるアメリカのレコ屋さんで新品未開封8ドルでしたからね。

ナット・キング・コールがスーパースターになってからのゴージャスなオーケストラをバックに歌ってるんじゃなくて、もう少し若いころの自分のトリオで弾き語りしてるフレッシュなスターだったころのコールのピアノと歌を一度ちゃんと聴いてみたいもんではあるよなあって、バディ・リッチといっしょにレスター・ヤングのバックでピアノ弾いてるナット・キング・コールを聴いてから思ってたんでした。

そしたらこれを見つけた。
なにせタイトルがトリオでヴィンテージ・イヤーズだ。
いわゆるひとつのお誂え向きってやつね。

なかみの説明はなんにもなかったけど8ドルの新品未開封だしさ。

届いたレコードのライナーノートを見ると1945年の5月19日午後1時〜5時に録音された曲から47年8月6日午後2時〜5時に録音された曲まで11曲、すべて78rpmのオリジナルマスターから復刻された、なんのオーヴァーダビングも施さないオリジナルのままの曲ばかりと書いてある。

やけに詳細だよなあ。
曲ごとにレコーディングした時間まで全部データが印刷されてるんだけど、べつにコレクター向けとかってわけじゃなくてフツーのベストアルバムにしか見えないのは、いったいなんなんですかね。

しかし45年の5月だもんなあ。
ナチスドイツが連合国に無条件降伏した月。
それはまあ、いいとして。

とにかく、とっても良いナット・キング・コール・トリオのベストアルバムなんだ。
メロウでスウィートで、コールのピアノもヴォーカルもかっこいいし。そこへギターが絡んでもうスウィートなのにばりんばりんのジャズ以外のなにものでもない。A面ラストのThat's Whatでコールのスキャットとギターがユニゾンになるとこなんてもうキャーだぜ。ひゅーひゅーだぜ。ワオだぜ。

なのに、なんでこれがたった8ドルなんだ!

音もいいの。いかにも質の良い後期のSP録音からの復刻って音がする。年代的にはそれほど隔たってるわけじゃないのにどこかやっぱりLPの音色とはちょっと違うSPレコードの音がするんだな。なんなんですかね、この音の違いというのは。

それにしても、こういうわりと筋の通った復刻盤というのが数多く作られるようになったのってここ25年くらいのことじゃないかと思うんだけど、だからこいつもてっきりそうだと思ってた。せいぜい遡っても70年代後半くらい、まあ80年代から90年代にかけてリリースされたレコードだろうなくらいに。

そしたらどうもレーベルのデザインからすると60年代のなかばから後半あたりらしい。
んー、その時代に擬似ステにもせずにモノラルのまんま、よくこういう復刻をしたもんだなあ。
THE VINTAGE YEARS unforgettable favorites by THE NAT KING COLE TRIO_d0027243_1312255.jpg

と、内袋の広告のアタマのとこ見ると66年とあるじゃないですか。
つうわけで、ひさしぶりの内袋鑑賞会(笑)

だけどナット・キング・コールの年譜たしかめたらこの前年、65年に亡くなったんだな。
そうするとこのアルバム自体も追悼盤の色が濃かったのかもしれないね。
それで詳細なデータがつき、オリジナル録音に忠実に再現されたと。

スターのベストアルバムって手を掛けて作らなくたって出しゃ売れるからなのか、わりとちゃらちゃらお手軽に作られたようなのが多い印象だけど、これはとても真面目に地道に作られてる気がする。もしかするとそれはレコード会社やプロデューサーのナット・キング・コールへの愛の現れなんだろうか。

ちなみに内袋のこの面にはコールのアルバムは3枚。
THE VINTAGE YEARS unforgettable favorites by THE NAT KING COLE TRIO_d0027243_1335080.jpg

ついでにウラへ行きますとビートルズが2枚。ラバーソウルとヘルプ。
それからどのアルバムもキャプションの最後のとこにステレオ、モノ両方のレコード番号が入ってて、なるほど66年ころってまだステレオ盤とモノラル盤が完全に併売されてたんだなあなんてこともわかる。

ところでこれはなんなんですか。
ビーチボーイズが2枚あるんだけど、ほかのアルバムはみんなSTEREOとMONOのレコード番号が併記されてるのにビーチボーイズの2枚はDUOPHONICとMONOになってる。

これってもしかして擬似ステのことですか。
ブライアン・ウィルソンがステレオ録音嫌いだったって話はきいたことがあるけど、
モノ盤と擬似ステ盤を併売してたってことなんだろうか。うーむ。
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ナット・キング・コールがお題のエントリなんだから、それはまあいいや。
とにかくこれはお買い得なレコードなんです。見かけたら、ぜひおひとつ。

このカタチでCDは出てないみたいね。個々の曲はあちこちのCDに散らばってそうだけど。
by god-zi-lla | 2012-01-08 13:02 | 常用レコード絵日記 | Comments(5)