神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

おー、これが例のナニのアレか(JR EAST Takanawa Gateway Station)_d0027243_23033937.jpg





うちの奥さんもここんとこテレワークである。会社定年で辞めてからはウチで仕事してることがけっこうあるから、そう違和感ないっちゃあないんだが、きょうは初めて一躍話題のZoomってのを使って仕事をしてましたね。こちとらその間、居間で息を殺してじっとしてようかと思ったが、そんなことしてるより今のうちにとスーパーへ買い物に出かけたんでした。

いやそれにしてもさ。とにかくテレワークテレワークと世間がうるさくなってからこっち、平日夕方のスーパーがやたら混雑するようになっちゃってね。

つい先日までのスーパーマーケットといえば、平日はたいていどこも奥さんひとりか子どもがそれにくっついて買い物に来るくらいなもんで、それが土日祝日になるとそこにダンナが加わる。そうすると平日夕方の倍の人で店内はけっこうな混雑になっちまう。

その混雑というと、なかでも50代以上のトシ食ったダンナはたいてい通路のまん中らへんを奥さんと喋るでもなく自分が周囲のジャマになってんのにも気づかず、ちょっとエラそうにだらんだらん歩いてるのが多い。せめて奥さまのカートでも押すくらいはやってやれと思うんだが、きっと会社でもあんな感じで周囲の若者にエラソーにしてんだろうなあこのオッサン。

いっぽう若いダンナはというと自分でカート押してたりすんのはいいんだが、こんだは陳列棚のとこにアタマ突っ込んであーでもないこーでもないと奥さん相手にゴタク並べてんのが結構いる。ほらコレ使ってさ、アレ作るとけっこう美味しいんじゃね? とかさ。いやースキヤキだったらこっちの和牛にしようよ。ねえ和牛。おいしいよ和牛。え? 高すぎるって。いいじゃんいいじゃん、たまにはさー。とかさ。

いいんだよ全然。たまの休日なら。この混雑も一家団欒のうちかもしれんし。

それがここしばらくはテレワークのおかげで平日なのにダンナがついてくる。じつに困ったもんである。混雑が毎日になっちゃった。都心なんて自粛自粛で人いないのに、ちょっと外れた住宅街のスーパーが押すな押すなになってるって、なんちゅうか、そこはかとない不条理を感じたりするんである。ねえねえ、テレワークってなんのためにやってんのさ。

この際、一家団欒・夫婦和合はウチの中だけに限定してほしいもんである。スーパーにはおのおのの家庭で代表者ひとりを派遣してもらいたい。ひとりでじゅうぶん。そういうのを「不要不急の外出」ってんじゃあるまいか。

慣れないテレワークで疲れてんのはわからんでもないよ。でもね。息抜きしたいんだったらダンナ。あんたひとりで買い物しなさいって。きょうはおれが買い物に行ってくるよと言えば、たいていの奥さんは、あーらウレシイわって言うと思うよ(なんか古臭いか)。

たまには夕飯どうしようかって悩んで悩んで途方に暮れるってのも悪くない経験ですぜ。脳が活性化しますね。ふだんほとんど使ってないでしょ、脳。もし自分で晩メシこさえられないんだったら奥さんにメモでも書いてもらえば大丈夫。あなたでもきっとお買い物できますから。初めてのお使い。どーっすか。

つうわけでおれは最近夕方の混雑を避けて、手押し車のおばあさんたちに混じって昼間のうちに買い物してるのであった。

で初Zoomを無事終了した奥さんと夕方散歩に出たんである。もう桜は終わった。どこ行こう。足はなんとなく泉岳寺に向いている。魚籃坂を上り伊皿子坂を下っていくとすぐそこが浅野長矩、瑤泉院、義士たちの眠る泉岳寺なんである。

泉岳寺のほうへ曲がろうと、ふと目を上げると第一京浜の泉岳寺の丁字路がいつのまにか十字路になっており、新しくできたらしい道路の向こう側に視界がバーンと開けて青い空が広がっている。なんじゃこりゃ。

これって新しくできた高輪なんちゃら駅じゃないの? 奥さんが言う。そういや先月開業したっていってたな。なんだか遠い昔のような気が一瞬したが、アレの蔓延ですっかり忘却の彼方に押しやられてたんだ。じゃあってんで、せっかくだから見物に行こう。どうもあんまり人がいる感じでもないし。

つうようなわけで赤穂義士の皆さんには悪いけどそのまま直進して行ったのである。

そして建設現場のなかに突然そびえ立つ立派な「仮設駅舎」みたいのが冒頭の写真なのであった。なるほどこれが話題の明朝体の駅名か。たしかに近づかないと読めない。そういえば大昔、中学の体育祭の「入場門」(ゲートだ❗)の看板文字を中坊のおれがイキがって明朝にしようとしたら美術のヤマグチ先生に、こういうところに明朝体を使うと遠くから読みにくいからゴチック体を使いなさいと教えられたのを思い出した。よっくわかりましたヤマグチ先生。先生の教えを半世紀を経て実感したのであった。




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エスカレーターを上がると改札口のフロアに出る。改札のところから構内を見てみたが別段特産品を売ってるようでもない。品川のような「エキナカ」はない。そりゃそうだよな。でもゲートウェイ饅頭とかゲートウェイ大福とか、そのくらいはあってもいいのではあるまいか。あったら買ったのにさ。

改札の左のほうに行くと記念スタンプを押す場所があったが誰もいない。スタンプ台の横にアルコール消毒液があったので消毒だけしようかとも思ったが、それも申し訳ないような気がしたのでヤメた。すると「3階デッキ」に上がるエレベーターというのがあった。




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おー、これはなかなかの眺めではないか。この3階デッキから決死の覚悟で飛び降りれば無賃乗車出来そうであるが、そんなことをするヤツがよもやいるとは思えない。それにしても最初から「耐震補強」したような鉄骨だな。

それにしてもホームも構内もガラガラじゃんよ。そもそも利用者がそんなにいないのかアレによる自粛のせいなのか、ぜんぜんわからん平日の夕方5時ちょい前である。ひょっとすると電車の乗降客よりも、おれらのような物見高い見物人のほうが多いんじゃあるまいか。写ってる電車は山手線の外回り・品川方面行きのお尻なり。

でもホントついてないよね。こんな時期に開業だなんて。




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駅舎の外側のペデストリアンデッキのようなとこから東京駅方向を見たとこ。正面の高層ビル群はとなりの田町駅周辺に比較的最近できた。

その手前のごちゃごちゃした工事現場の仮囲いには〈UR〉のロゴがあったからここに「タワマン団地」でも作るんだろうか。でも結構な広さだぜ。そんなにたくさん建ててどーすんのかね。人口はどんどん減ってんだし。でも「タワマン団地」って、ちょっとスゴくない? 台風で水浸しになった武蔵小杉のイメージか。そういえばここはもともと海だ。海抜表示は見なかったけど、せいぜい2メートルとかそんなもんじゃあるまいか。江戸時代は泉岳寺からすぐ海を見下ろせたんだと思いますね。

つうわけで高輪なんちゃら駅(知ってるくせに頑なに、なんちゃら駅で押し通す奥さん)。最寄り駅じゃないから次はいつ来るのかわからない。ショッピングモールでも出来ればいっぺんくらい覗いてみてもいいかもしれないけど、この様子じゃあ出来るとしたってずいぶんと先だろうな。





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by god-zi-lla | 2020-04-08 23:59 | 物見遊山十把一絡げ | Comments(0)




昔の東京の味のする芝居弁当が_d0027243_10594293.jpg





虎吉さんのコメントで知ったんだが、歌舞伎座向かいの弁当屋「木挽町辨松」が今月20日をもって店を閉めることになったんだそうだ。あまり経営がよろしくなかったところに今回のアレが禍したようだ。

歌舞伎座前のお弁当屋だもん。そりゃあ小屋がひと月半以上開かないんじゃ干上がっちまう。なんだか寂しい話だなあ。

木挽町辨松の弁当といえば「甘くて濃い」。卵焼きなんて自分でこの甘さにこさえようと思っても手が震えて砂糖を入れらんないんじゃないかと思うくらい甘い。もちろん弁当だから「持ち」のいいようにと考えた味つけなのでしょうが、これはしかし「江戸の味」でもあるよな。佃煮なんかでもそうだけど東京の古い店のはたいがいとっても「甘っ辛い」。べったら漬けなんてのはもう、途轍もなく甘い。

でも、あれがいいんだよって江戸っ子の末裔は言うんだ。

江戸っ子じゃないおれにはだからやや濃すぎる味つけに思えるもんですから、そうそうしょっちゅう食ったわけじゃない。でもなんか、ときどき無性に懐かしく思い出されるような味でもあってね。開幕前にここに寄って「赤飯弁当」を買い、晴海通りを渡って歌舞伎座に入ることがときたまあった。

歌舞伎座のほぼ真向かいなのに横断歩道は三原橋の交差点か、晴海通りを少し勝鬨側に寄った万年橋の交差点しかなくて最短距離を渡れないのがイライラだったりしてね。

まあしかし、閉店だからといってこのご時世ちょっと買いに行ってみるという気分にもなれないところが残念なり。

そこで探してみたら8年前のエントリに弁当の写真を載っけてた。歌舞伎の幕間、自分の席で膝の上で包みを広げたところを撮ったみたいで(歌舞伎は通例ほかの芝居なんかとちがって客席で弁当食ってよいことになっている)、これがまったくヒドイ写真だもんですからボロ隠しをしたのが上のヤツなり。

そのエントリの本文に「『赤飯弁当1番』695円」とある。弁当の名前に番号が振ってあるのがなんかいいよね。ちなみにいまは同じ名前の弁当が730円とHPにあり。8年で35円の値上げ。良心的といっていいんじゃあるまいか。そのホームページによれば中身は「赤飯 玉子焼 蒲鉾 めかじき味噌焼 うまに(筍・つと麩・牛蒡・椎茸) その他」とある。写真のまんまだ。

ちなみに「日本橋辨松」という店もあって歌舞伎座にほど近い銀座三越にも店を出してるが、こっちのほうがやや値が張り味のほうも木挽町より薄味の「一般的な」味わいだと思う。ようするに「木挽町」のほうが庶民的なんだろうな。値段も味も詰めた折の体裁も。

ふたつの「辨松」は、昔は知らず現在はなんの関係もないらしい。







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by god-zi-lla | 2020-04-06 11:51 | 食いモンは恥ずかしいぞ | Comments(2)
ご近所の桜 その2 葉桜になっちゃったけど、それを愛でながらせっせと歩く篇_d0027243_07493624.jpg


近所のなんとかタワーの児童公園。

いい天気になったので奥さんと歩く。べつに桜の名所に行かなくったって、歩いて行ける範囲にけっこう見事な桜の木はあるんです。そいういとこなのよ日本てのは。つことでご近所の桜を見て回りながら、引きこもりの老夫婦は運動不足を少し解消しようと出発したのであった。目標1万歩。


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古川っぺりの児童公園。

じつは白金公園って名前だったんだと今回初めて知った。この写真左手はすぐ古川です。上に首都高がおっかぶさってきわめて殺風景なぞっとしない風景なんだが、この桜はなかなか立派なので満開のころは散歩がてら桜見物に来てる人がけっこういる。



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その児童公園のハナカイドウ。

この前、お寺の境内に咲いてるのを見てネットで調べて初めて名前を知ったんだけど、ここは公園だからちゃんと名札が付いてました。あれから1週間たってるから、ここのはずいぶん花が開いてる。


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光林寺の三門前。

ここはなかなかの名刹なり。幕末アメリカ公使館の通訳ヒュースケンが薩摩藩士らに斬殺され、そのお墓がここにあるという話。でもそんなことより、じつにきれいなお寺で桜が見事なんだよ。


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三門から桜を見る。

この眺めだけでも歩いて来る値打ちあり。



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そして境内の立派な桜。

この日は職人が何人も入って庭の手入れをしてた。裏の麻布の山の斜面にけっこうな墓所があって外から見るとそこの桜も見事なんだが、ちょっとそこまで入っていく勇気はない。



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これも光林寺。

そういえば先般、樹木希林のお葬式をここでやったと報道されてた。生前このお寺が気に入って頼んであったんだってね。



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天現禅寺。

首都高の料金所の名前になってて古川(渋谷川)の橋の名前になってて、そっちのほうが有名だけどお寺はちゃんとある。しかし桜を求めて境内に入ったのはこれが初めてだった。

上空に飛行機が写ってますが、これが羽田への新たな進入路で昼間3分に1機くらいは飛んでる。この写真じゃわかんないけど頭上を飛ぶのを見上げると車輪を出してるのが視認できるくらの高度だからけっこうな騒音もある。

でもいまはどの飛行機もほとんど空っぽで飛んでるに違いないんだ。




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都立広尾病院。桜は明治通りの街路樹。

天現寺橋交差点の歩道橋の上で写真撮った。明治通りの広尾から恵比寿にかけての桜並木はかなり見応えがあって、満開のころはここをバスで通るだけでも楽しい。でも、ちょっと遅かったな。この桜は少しだけ遅咲きのようでなかなかでしたけど。

しかしさ。大病院のすぐ目と鼻の先の大きな交差点にかかる歩道橋にまったくエレベーターがないんだぜ。交差点自体に横断歩道がひとつもないんだから年寄りも身体の悪い人もみんな階段を上り下りしなきゃ渡れない。まったくひどいもんだ。



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広尾の町に入って祥雲寺。

ここはいくつも塔頭のある大きな禅寺なんだと今回初めて知りました。20年くらい前にここでお葬式があってお通夜に伺ったことがあるんだが、そのときは暗い夜道を案内看板だけ見ながらたどり着いたもんで門前に塔頭が並ぶような大きなお寺だとまるで気づいてなかった。


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広尾の商店街のお寿司屋さん。ほんと大変なことになった。

こんな時ですから、おれたちも歩いて、頑張って、生き延びよう。

(舗道に桜の花びらが)















by god-zi-lla | 2020-04-04 09:01 | 物見遊山十把一絡げ | Comments(3)
花見にはまだちょいと早い東京だがしかし_d0027243_00125598.jpg



まあ、概ねこんな感じではあったからね。来週なかばくらいからが見頃ですか。

しかしいくら地ベタに座りこんで宴会やらないったって、歩くのも押し合いへし合いな上野恩賜公園や目黒川沿い、それから千鳥ヶ淵なんかはちょっとなあ。人通りのそれほどないひっそりとした桜並木とか、そういうとこを探してそれも平日にちょっと散歩するくらいが吉、ですかね今年は。

こないだに引き続き老夫婦は芝公園方向へ。もう少し咲いてるかと思ったら芝公園はまだほとんど咲いてない。あんまり聞いたことないけど「一分咲き」ってくらいですかね。とりあえずタワーの先っちょが写り込むワザとらしい写真を撮ってみましたけど、満開になりゃあきっとタワーは見えなくなります。

まあしかしアレだ。今日はほんとは歌舞伎の切符を買ってあったんだよ。それがこんなことで結局今月は初日も開かないまま中止ということになった。こういうときウチに籠もってると鬱々とした気分が積もってきて身体に悪い。だから桜もまだかもなあと思いながら、とりあえず外に出てみたりするわけだ。

そういえば今月はなにを見る予定だったんだっけなあ。もう忘れちゃったよ。昼の部には福助が出るから、それを見に行くつもりだったかなあ、なんて。

それでこのあと、閑散とした東京プリンスホテルへ入ってコーヒーを飲んでひと休み。それにしてもこの東プリのガラガラぶりはどうよ。なにしろロビーの宴席案内掲示板がすべて空白なんだぜ。こんなことってアリか。いつもの年なら短大の卒業謝恩会とかそういうのがズラズラズラっとあって、そこいらじゅうに振袖ハカマの小娘が充満してる季節じゃあるまいか。んー。

いや、ヤメとこう。おれがここでそんなこと書いて事態が好転するわけじゃなし。

それにしても今月は芝居やらコンサートやら全部中止で払い戻しになっちゃったし、このカネでウマイもんでも食いに行くかレコードでも爆買いするかなんて、考えている今日このごろである。

下の写真は赤羽橋の交差点のとこの桜。この木はけっこう咲いてましたね。五分咲きの手前くらい。この開花の早い遅いの違いは何で決まるんでしょう。日当たりだったら芝公園のほうが良さそうだしな。早い木は毎年早いし遅い木は毎年遅い。これもなにか「種」の生存のための知恵なのかしらん。

でその桜に止まって何か食ってる鳥がいる。これはヒヨドリですか?



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by god-zi-lla | 2020-03-20 23:59 | 物見遊山十把一絡げ | Comments(0)
東京の桜はぼちぼち終わりですかね(今年の桜総集編その1)_d0027243_10090295.jpg



とかいって、3月28日は虎ノ門の金刀比羅宮、ビルの谷間のバチ当たりな作りのお宮さんである。そのお宮さんの裏手にあるかかりつけの歯医者を出て境内のサクラを撮ろうとカメラを構えたら、おれのすぐ脇でピイとひと声啼くやつがいる。振り返るとコイツだ。境内に設えられたイマドキな水景のとこにいるのはヒヨドリか。おれとの距離2メートルはない。おっおっおっ、なにしてんだコイツ。



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そしたら一瞬、尾羽をバサバサバサっとやる。なんか顔がマジになっている(ような気がした)。近くにニンゲンがいるのなんかほとんどお構いなしみたいな感じで、こっちもこうなりゃサクラどころじゃないね。




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わっ! と驚いたときには水景に飛び込んでた。あー、さっきの尾羽バサバサは準備体操だったのね。でもシャッター切ってみたけど動きが素早くて追いつけない。おれのほかにもサクラ撮ろうとスマホ構えてたオバチャンがいたけど、羽音に驚いて振り返りサクラそっちのけで写真撮ってましたね。そりゃそうだろ。



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そしてプールサイドへ華麗に飛び上がるヒヨドリ。あたかも水紋を撮ったように見えますけど、これまた動きを追えずヒヨドリ本人がフレームアウトしかかってるだけなんでした。いやーそれにしても人目も憚らず大胆なヤツだ。なにしろバチャバチャやった水しぶきが飛んできそうな近さだもん。お宮さんの境内だから安心しきっているのでありましょうか。

しかし、こんな情景を見せてもらっちゃうとサクラなんかどーだっていいような気もしてきたりしてね。




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いちおう振り向いて同じ位置からサクラを撮ってみましたけど、もう、どーでもいいような気分がめいっぱい写真に出ちゃってる感じだよな。

この後、霞ヶ関の官庁街を歩いて千鳥ヶ淵へ向かう。


to be continued

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by god-zi-lla | 2019-04-09 10:39 | 日日是好日? | Comments(0)
慶楽の牛腩飯(Come Back KEIRAKU!)_d0027243_11393029.jpg




日比谷の、晴海通りからJR高架脇の狭い道を帝国ホテル方向に向かっていく中ほどあたりにある古い中華料理店〈慶楽〉が昨年末で「一旦閉店」してたなんて。ショック! そういえば今年になってから行ってなかったんだな。店頭に貼ってあったっていう閉店を知らせる貼り紙も見てない。んー。

おれにしちゃ極めて珍しいことにたった1枚だけ写真を撮っていた。2014年にひとりで昼メシに入ったときに撮ったらしい〈牛腩飯〉。スープも写っている。右上隅の調味料のトレイにあるのは唐辛子を甘酢につけたもの。

まったく知らなかったんだけど、閉店したと知ってからネットで検索してみると同店は昔、タイの大使館の人からの要望で彼の国の若い人に食事を出してたことがあったんだそうだ。この、昔っから当たり前にある唐辛子漬けはその名残りなのかもしれない。

そういえばこの店には〈タイ式焼きそば〉って頼むと出てくる辛い焼そばがあった。いま風にいえば「裏メニュー」ってヤツかもしれないが、もしかしたらメニューにはあったかもしれないけど漢字で書いてあるだけだからわかんなかったのかもしれない。だけどとにかく、「タイ式焼きそば下さい」といえば当たり前のように出してくれました。

そういえば(そういえば続きでスマン。思い出すままに書いてるもんで)写真の〈牛腩飯〉も最後までどう読むのか知らないままだった。ギューナンハン?

昼間はテーブルにランチメニューのプレートが立ってて、そこにこう書いてあるだけだった。

だけどね、べつに読めなくても「牛バラご飯下さい」といえばコイツが出てくるので、40年近くの間そう頼んでるだけでなんにも困らなかった。

あーでも〈炒飯ランチ〉の写真もこんなことなら撮っとけばよかった。オカズが2品とゴハンは炒飯(白いゴハンのはたんに『ランチ』)とあとザーサイと胡麻団子が楕円形のワンプレートに全部乗っかってて、別にスープが付く。当然食べ進むうちにオカズ2品と炒飯が混ざり合ってきたりするわけで、几帳面な性格の人にはオススメできないランチでしたがボリュームは満点。

若いときは普通に平らげてたのが50を過ぎたあたりからちょっと荷が重くなってきてね。

そうそう、そのランチに付いてくる甘い胡麻団子ですけど、まあランチだから作り置きで冷めてるのが普通なんだけど、たまに「胡麻団子は後でお持ちしますねー」って言われたときは思わずココロの中でラッキーと叫ぶ。こういうときは必ず作り置きが終わってアツアツのが来るんです。なんかうれしい。

写真を見てると、あーそういえばあそこはずっと昔からコップに水じゃなくってこの懐かしい湯飲み茶碗(昔はどこへ行っても『会社』や『食堂』の湯飲みといえばコレばっかだった)でお茶だったね。お茶のおかわりを頼むと、この水玉の湯飲みとお揃いのこれまた懐かしい大きな急須で淹れてくれた。

夜もよく行きましたけども、たまたま去年の秋ころに娘と息子を誘って四人で晩メシに行ったんだよ。で、そのときは子どもらにメニュー持たせて全品注文させてみたら、おれが注文したことない料理ばかり頼んでこれがどれも面白くかつ美味いものばかりで、あーやっぱり慣れたモンばっかり食ってても世界は広がらんなーなんてみょうに感動したりなんかしたんだけどね。

あれも「想い出」になっちゃった。

これでとうとう日比谷界隈に真っ当な中華料理店はひとつもなくなった。

店頭の貼り紙には「一旦閉店します」とあったそうだから、その「一旦」に一縷の望みを託したいものであります。




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by god-zi-lla | 2019-02-21 12:37 | 食いモンは恥ずかしいぞ | Comments(4)
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4月29日

TOHOシネマズシャンテで〈ダンガル きっと、つよくなる〉を奥さんと見物す。
印度レスリング界の星一徹が嫌がる愛娘二人をさんざんな虐待のすえ国を代表する選手に育て、インドの女性たちの巨人じゃなくて希望の星となる物語なり。

テーマ曲が楽しいので珍しくサントラCDを買ってみたら対訳が付いてないじゃんよ。

写真はミッドタウン日比谷(三井銀行本店と三信ビルの跡地)のなかにオープンしたTOHOシネマズ日比谷のロビーからの眺めです。すぐ近所でもTOHOシネマズシャンテからこんな景色は当然見えない。



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5月1日

夜、40年もつるんで飲んでる友だちと浅草寺五重塔の脇っちょにある浪花節の殿堂、木馬亭で玉川奈々福と桂吉坊の異種格闘技的二人会を聞きに行く。ここは同じ建物に大衆演劇の殿堂、木馬館もあり。

このふたりの会は春先に続いて二度目の見物だけど、今回もじつに楽しいのであったから次回も行きたい。つぎは秋口かな。

3時間近い長丁場だけど、おのおの1席づつしか演らない。奈々福が舞台に上がったときお客さんから「たっぷり!」って声が掛かりましたけど、まさにふたりともたっぷり聞かせるんだな。

友だちによると先日、明治座で落語の会があるのを知人に切符をもらって行ったそうなんだが、「笑点」の人気噺家ふたりと奈々福が出演、笑点のふたりは案の定テレビの楽屋落ちばかりでまるでつまらなく、いっそう奈々福の芸が光ったとのこと。

だろうな。

それにしても噺家ってのはピンキリの差が甚だしくて、吉坊なんかは当然ピンに近いところにいて場合によったら30年後には名人と呼ばれてるかもしれないくらいなもんだが、これがキリのほうになるとイイ歳した真打ちのくせにちょっと上手い若手の二つ目よりずっとヘタっぴいってのがゴマンといたりするのが恐ろしい。

ところでこの数日前に文楽の人間国宝、七代目竹本住大夫が亡くなって、桂吉坊は桂米朝の孫弟子で内弟子だったから師匠・米朝の盟友住大夫にもずいぶんと可愛がられたということで、吉坊は奈々福とのトークでも噺のマクラでも住大夫の思い出話をたっぷり語り、こいつは文楽ファンの虎吉旦那にぜひ聞かしてやりたかったねえ。




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木馬亭が跳ねて一杯やって帰ろうと浅草寺の境内に入ってすぐに見上げたらコレだ。ライトアップされた五重塔とスカイツリーがひとつのフレームに入っちゃう。じいさん二人、思わず立ち止まってiPhoneで写真撮りまくってしまったんである。

それにしてもウソくさい五重塔のライトアップ姿なり。iPhoneのカメラのせいだな。

ちなみに友だちのほうは6月に二人目の孫が生まれるんだそうだが、孫の父親(つまりヤツの娘の夫)は九州へ単身赴任のため、臨月が迫ってきたらジイちゃんは娘婿の代わりに待機することになって飲みにも出られなくなるらしい。

おれなんかは、コイツよくやるよなんて思っちゃうけど本人は満更でもないみたいだな。孫ってそんなにカワイイんすかね。




5月2日

東京プリンスホテルの骨董市を奥さんと二人して冷やかしに行く。奥さんはかわいいコーヒーカップをひとつ買い求めたが、おれはというとある店のガラスケースに値札も付かずに陳列された螺鈿の箱形の細工物が見事なので覗き込んでいたら、主人の奥さんと思しき老婦人がガラスケースを開けて「よく見てあげてくださいね」と見せてくれる。

なにかの容れ物らしいんだが用途不明で小さな抽斗の内側にも美しい蒔絵が施されてたりして、いやあこれは見事なものですねえなんて、ひとしきり拝見したんだが、こっちはどう見たって七桁万円の上のほうはするに違いない品を買えるわけもなく、あっちだっておれごときに買えるとは思ってもいなかろうに、なぜか商売抜きに相手をしてくれてありがたいことである。

で、この日のあたくしは「眼福」だけが収穫なのであった。

5月3日

こんだは平和島の骨董市に出撃す。東プリはお高い品中心の骨董市だが(『美術・骨董ショー』と銘打つくらいなもんだ)、平和島のほうはガラクタも大量出陳中なり(なにしろ『古民具・骨董まつり』と銘打つくらいなもんだ)。ようするに東プリのほうに店出してるのは骨董店だけだが、平和島のほうには「古道具屋」も星の数ほど店を出して、誰が買うのか知れないプラスチックの茶碗なんかも売っている。

ところが欲しいモノがない。千代紙の1枚でもビー玉の1個でも買って帰りたいと思うんだが、こちとらの物欲を刺激してくれるブツがひとつもない。残念なり。奥さんもこの日は手ぶらで退散す。




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5月4日

ラ・フォル・ジュルネは今年から東京芸術劇場でも展開するというので、今年はラクチョウはパスしてブクロへ奥さんと出かけてみた。

写真の見上げるエスカレーターの先にあるのが「コンサートホール」で、そういえばここにはずいぶん入ってない。娘の友だちが音大の合唱団でコバケンさんの「第九」に出るというので家族総出で聴きに行って以来だからもう10年も前か。

下の「プレイハウス」には芝居見物で必ず年に何回かは来るし、地下のふたつの小劇場にも行くんだけどね。

でそのコンサートホールではジャズの作曲・編曲家として売り出し中の挟間美帆がハービー・ハンコックの〈処女航海〉をシエナ・ウィンド・オーケストラとジャズのトリオのためのコンサートピースに仕立てたのを聴いた。

じつをいえばおれはバークリー式の音楽つうのにほとんど興味がない。完璧なテクニックと理論に裏打ちされた隙のない「ジャズ」というのを面白いと思ったことがないのよ。

でもまあシエナ・ウィンド・オーケストラというのはクラシックの管楽器楽団だからジャズだと思わないでその妙技を鑑賞できればいいんだし、バークリー仕込みのオーケストレーションをいっぺんナマで聴いとくのも悪かないよなと、ラ・フォル・ジュルネは安いし、短いからそういう知らない音楽の「お試し」にはうってつけなんである。

そして、このコンサートを聴いてひとつおれ的には大きな「発見」をしたんだけど、ジャズのドラムスが鳴ってないときはナニをどうやってもこれはクラシック音楽で、まあせいぜいちょいとシンコペートするウィンドシンフォニーなんだが、これがひとたび小さな音のシンバルレガートでも鳴ると俄然ジャズになる。音楽の進行を一瞬で指揮者から奪い取る。ドラマーがリズムを刻んでる間、音楽の「時間」はドラマーのものなんだ。

そういう存在だったのか、ジャズのドラムスってのは。って、いったい何十年ジャズ聴いてきたんだというようなモンですけど、ドラムが「タイムキープ」するってことは「時間を支配する」ってことだったのね。池袋で目からブクロ、じゃなくてウロコ。

そのあと続いて地下に降りて「シアターウエスト」でアルメニアの音楽を演奏する〈カンティクム・ノーヴム〉というバンドを聴く。3人の男女ヴォーカリストにバロックチェロ、ガンバみたいな小さな楽器数種、ウード、ニッケルハルパ(初めて見た楽器で名前に辿り着くまでに四苦八苦した)、尺八みたいな笛、リコーダーに見える笛、各種パーカッションで、ヨーロッパとアジアの境目というしかない音楽。面白い。

帰ってからCDをタワレコで見つけて注文したけど、今日くらい届くかな。

だけどアルメニアっていま大変なんだよな(バンドは欧州の多国籍集団らしいけど)。



そして、5月5日は玉川学園前まで小田急に乗って。
楽しい楽しい男の子のお節句は地下室にお籠もりさん。

中身はその部屋の御亭主がブログにアップされたらその後でまた。


で5月6日の日曜日は安息日。

どっとはらい。




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by god-zi-lla | 2018-05-06 10:12 | 物見遊山十把一絡げ | Comments(2)
お互ひに清潔を心がけませう_d0027243_09202430.jpg


「お互ひ」じゃなくってね。
清潔にしなきゃなんないのは、あんたらのほうなのよ。

わしゃ出かけるので、帰ってくるまでにキレイにしとけよ。
アベちゃん。

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by god-zi-lla | 2018-03-13 11:06 | 物見遊山十把一絡げ | Comments(0)

2018.3.11小石川後楽園

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14時47分、小石川後楽園の梅林で黙祷した。
あの日も梅は咲いてたんだろうな。

by god-zi-lla | 2018-03-11 22:54 | 震災・原発事故 | Comments(0)
近日閉館の「日劇」で黒澤映画を2本_d0027243_08200788.jpg


有楽町の「日劇」が閉館するというので〈さよなら日劇ラストショウ〉と謳い今月4日まで連日旧作を掛けている。

いやじつはあんまり興味がなかったもんだから、どんなイベントをやるのか注意を払ってなかったところが黒澤映画だのゴジラだの、よく見りゃ洋画も混ざってて〈バック・トゥー・ザ・フューチャー〉や〈トップガン〉なんてのもあるじゃんか。

気がついたのがおとつい1月30日の昼過ぎ、掃除が一段落して昼メシを食い後片付けしてなんとはなしにTOHOシネマズのサイトを眺めてたら、なんと黒澤明〈悪い奴ほどよく眠る〉があと1時間ちょっとで始まるっていうんだ。

それから大慌てだ。とにかくこれは見なくちゃいけない。なにしろ「日劇」の巨大スクリーンで黒澤映画を見る機会はもう金輪際ないわけだ。そもそもああいうバカでかい映画館は経済効率が悪く時代遅れだってんで東宝が閉館を決めたくらいだから、いかにも大都会の映画街らしい巨大な劇場の大スクリーンで、こんな名作を見ることなんて遠からず出来なくなる。それはもう火を見るよりも明らかってヤツだ。

おれさ、日劇で子どものころ〈サンダ対ガイラ〉って怪獣映画を見たんだよ。とにかくあんな見上げるような巨大スクリーンで映画を見るなんて生まれて初めてでさ。思い返してみるとその頃暮らしてた国分寺にだって東宝系の映画館はあったわけで、怪獣映画もそこで見りゃいいんだからわざわざ中央線と山手線を乗り継いで有楽町まで出る必要なんてなかったんだ。あれはきっと母親が銀座の百貨店に行きたかったとか、まあなんか、そういうようなオトナの事情ってのがあったに違いない。

それはともかくとしてだな。当時の日劇という巨大劇場の巨大銀幕に映し出されるサンダとガイラは途方もなく恐ろしいバケモノであった。しかし恐ろしいからといって逃げ出すわけにもいかず、テレビのスイッチ切って天井の蛍光灯をつけるわけにもいかず、つまりまあそれこそが映画館で映画を見る醍醐味というほかない状況なのであった。それが1966年。

いやもう恐ろしい映画を見た巨大な劇場としておれの脳味噌に刷り込まれちゃった日劇なのであったが、時は下って1979年の夏のこと。当時つきあってた女の子に映画に誘われて23年ぶりに巨大スクリーンと対面したんである。しかもその映画は〈エイリアン〉。最初のやつね。

どういうめぐり逢わせでおれはこの戦時中は風船爆弾の製造に使われていたという巨大空間で、四半世紀の時を経て再び恐ろしい映画を見なければならないのであろうか。やだなもう。

結果は惨憺たるものであった。なにしろあんなに恐ろしい映画は初めてである。心臓が止まって死ぬほうがよっぽどラクチンなんじゃないかと思ったくらいなもんだ。ぎゃーと叫んで飛び出したりしなくてよかったと思っていたのだが、見終わって巨大劇場を後にした途端彼女に「あなた、信じられないくらい怖がりなのね」とハナで笑われてしまったということは、ぎゃーと叫ばなかっただけで怖がってるのが挙動に現れちゃってたんだろうなあ。くそー、二度と見ないぞコワイ映画。

日劇というのは、おれにとっちゃそういう劇場でした。

だけどそれは有楽町の晴海通りに面して丸く弧を描いた建物のあの日劇で、81年に取り壊されてその跡地に建ってるマリオンの上階にある「日劇」じゃないんだ。それはもう37年前にすべて終わってる。

だから〈さよなら日劇…〉っていうイベントにぜーんぜんピンときてなかったんだよ。だって名前残すだけだったら、新しく出来るという〈TOHOシネマズ日比谷〉に『日劇』の名前をつけることだってできたでしょうからさ。それをしなかったのも結局「マーケティング」ってヤツのなせるわざでしょ。

なんて、ナナメに見てたのよ。そしたら見過ごしそうになったのね。人生ハスに構えりゃ三文の損。

で、慌てて走って見に行った〈悪い奴ほどよく眠る〉はフィルムで上映されたんでした。TOHOシネマズのサイトにはそんな表示はなかった気がするんだけど(後でよく見たらあったけど、よく見ないとわからない)、席についたらそういうアナウンスがあった(それも係りの人がスクリーン下でマイク持って言うのよ)。いやー重ねがさねラッキーじゃないか。映写機にかけられるフィルムがあるんだったら、そりゃあフィルムで見たいさ。デジタルリマスターなんかこの際クソでも食って寝てろって。

おれは古い黒澤映画をリアルタイムで見てるような年齢じゃないうえに熱心な映画ファンだったことさえ生まれてこのかた還暦過ぎた今日まで一度もなかったから〈悪い奴ほどよく眠る〉も〈隠し砦の三悪人〉もこんかい初めて見た。いやーでもちゃんと映画館で見てよかった。

それにしてもこういう後味の悪いスカっとしたところのない勧善懲悪じゃない映画をよく作ったもんだよ(案の定興行成績は悪かったらしい)。森雅之も志村喬も西村晃もいけすかない小悪党で、ホントの悪党(つまりよく眠ってるヤツ)はとうとう一度として姿も声も現さない。森雅之の悪徳高級官僚がひたすら電話口で平身低頭するのみで(国税庁長官が内閣総理大臣から電話を受けるときはこんな感じであろうか)、それだけの描写で映画を支配してるタイトルロール。

明けて1月31日の昼。〈隠し砦の三悪人〉は以前から見てみたいと思ってた1本だから見逃すわけにはいかない。そして見逃さないでよかったよかった。なんて面白いんだ千秋実と藤原釜足。もうサイコーさ。

いやしかしすごいもんです。焼け落ちた城の巨大なオープンセット。その城の石段を駆け下りる反乱を起こした敗残兵の大群。刀を八相に構えたまま馬を疾走させる三船敏郎の身体能力。いやもう、こんな面白い映画はめったにないね。劇場の暗闇でおれを含めた観客が幾度も幾度もどっと「沸く」んだもん。

だけどあれだな。どっちの映画も三船敏郎が主演ということになってるけど、〈悪い奴ほどよく眠る〉のホントの主役は森雅之で〈隠し砦の三悪人〉のホントの主役は千秋実と藤原釜足だろうな。なにしろ三船敏郎の演ずる二人は自分の思惑とはウラハラに「ホントの主役」のやることなすことに翻弄されていく。

〈悪い奴…〉の三船と森は敵同士だけど終盤攻守ところを変え、〈隠し砦…〉の千秋藤原は狂言回しというより狂言をぶんぶん振り回して三船の主人公を再三再四振り落としそうになる。行動として目を離せないのはどっちの映画でもじつは三船じゃなかったりする。

ポスターの写真には森雅之も千秋実も藤原釜足も見えないのにさ。

いやーもうちっと早く気づけばよかった。上映リストを見たら〈椿三十郎〉も〈用心棒〉もフィルムで上映したんだな。

あーやっぱ、人生ハスに構えりゃ三文の損。


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by god-zi-lla | 2018-02-01 14:23 | 物見遊山十把一絡げ | Comments(0)